スタッフブログ

今年は少し落ち着いて、すこし真面目なネタにしてみます。

  • 2020.01.19
今年は少し落ち着いて、すこし真面目なネタにしてみます。

宅建業法の話です。

宅建業法=正確には宅地建物取引業法=という名前の法律で、街角の不動産屋から大手のデベロッパーまで、不動産の売買を扱う場合、この法律に従って登録を受けることになります。
雑則まで含めてもたった86条までしかない小さな法律ですが、宅建業の登録業者数は全国で12万社を超える程、多くの業者がその適用を受けています。

では、この宅建業法という法律は日本の法体系の中で、どのような位置づけにあるのでしょうか。

日本の法律は、その適用関係から「公法」と「私法」に分類できます。
前者は公権力の適用を制限して国民の権利を守るもので、代表的なものは憲法や刑法です。
後者は国民同士の権利義務関係を調整するもので、代表的なものは民法です。

それでは宅建業法はどちらでしょうか。

正解は「公法」です。
「ああ、不動産の売買や仲介の客(国民)を守るから、公法なんだね。」と思ったあなた!それは間違いです!
宅建業法は、国や地方自治体による公権力の行使によって、宅建業者が不測の被害を受けない様に、宅建業者を保護しているのです。

憲法上、日本は自由な国です。
どのような商売をするか、どのような仕事をするか、その選択の自由を日本国憲法第21条第1項で保障しています(職業選択の自由)。
つまり、本来は不動産屋を始めることも自由ですし、どのような契約条件で契約するかについても自由なはずです。
しかしながら、そのままでは一般の消費者が、不動産の売買や賃貸借契約で不当な条件で契約させられてしまう、といった不都合が生じ、または生じたため、宅建業法という法律を作って、不動産に関する業務に一定のルールを設け、守らない場合は罰(ペナルティ)を課すこととしました。
とはいえ、誠実に不動産屋を営んでいる業者に、ペナルティを課すことになれば、一般の消費者にとって有益な業者もいなくなってしまいます。

そこで日本国憲法は、公権力が処罰するためには予め法律でこれを定めることとしました(罪刑法定主義)。
また、この憲法の趣旨を補強するため、それまで与えていた許可の取り消すような場合は、意見陳述の機会を義務付け、公権力による国民の権利に対する無用な侵害を排除することとしました。

このように、「国民の権利を制限する場合、予めルールを定めるべし」とする考え方を「侵害留保説」と呼び、国や地方自治体の作用に対し、一定の歯止めをかける仕組みが設けられているのです。

ということで、宅建業法を入り口にして、憲法と行政法に触れてみましたがいかがでしたか?
評判が良ければ次回に続きます。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

株式会社 第一不動産  不動産免許番号:静岡県知事免許(10)第5704号

本社:〒420-0068 静岡県静岡市葵区田町5丁目10番地の1

TEL:054-272-1111(代)/FAX:054-272-1395