空室対策実践塾「空室対策としての原状回復」
借主の退去に伴って必ず行われる「原状回復工事」には、賃貸経営にとって二つの重要な選択肢があります。
1番は「どこまで行うのか」です。
空室対策の観点から、原状回復工事の内容を考える必要があります。
2番は「貸主の出費をどう抑えるか」です。
入退去のたびに、高額の原状回復費用を貸主が負担しなければならない、としたら、賃貸経営は成り立つのでしょうか。
この2点に焦点を当ててみます。
原状回復の目的は、「次の入居募集のために商品価値を整える」ことです。
「価値を整える」ところの「価値」とは、貸主さんが求める「家賃」によって異なります。
「家賃を高く貸したい」ときは価値も高める必要がありますので、それなりの、バリューアップを伴った原状回復工事が必要です。
反対に、相場が下がっているし、新築や築浅のライバル物件が多いので、お金をかけるよりは「値下げをして貸す」ときは、気になる箇所だけの原状回復工事で充分です。
仲介・管理会社が「リフォームをしましょう」とか「家賃を下げましょう」と提案するのは、必ずしもオーナーの都合を考えてのこととは限らないので、貸主としては、自身の考え、自身の都合で「どこまで原状回復工事を行うか」を決めるべきです。
ご自身の考えを伝えた上で、仲介・管理会社にアドバイスを求めてください。
原状回復工事を「気になる箇所だけ」で済ませるか、「バリューアップを伴った内容」で勝負に出るかは、物件の築年数によっても選択がかわります
。
築10年を過ぎると、新築・築浅の強みは消えていますし、設備も、修繕か交換の時期を迎えています。
数年後には大規模修繕の時期が迫っていますから、それに合わせて「バリューアップ工事をする」という考えは合理的です。
また築20年を過ぎると、そのときのお客様のニーズに「まったく」合わなくなっています。
設備も交換しなければならない時期です。
木造なら「建替え時期」も意識しながら、2回目の大規模修繕に合わせてリノベーションするか、費用をかけないで取り壊しまで、家賃の値下げ戦略を基本として経営するか、の選択です。
オーナーの賃貸経営に対する、目的と考え方次第で選択肢が違ってきます。
原状回復工事は、その都度、賃貸経営の先行きを考えた上で、適切な投資をしていただきたいと思います。
さて、どちらにしても、退去の度に費用がかかることは避けられません。
この費用の大部分をオーナーが負担するか、出来る限り借主に負担を求めてオーナーの支出を抑えるか、この方針にも選択があります。
国土交通省のガイドラインが世に広まりました。
東京では東京ルールが施行されて、退去時の通常損耗や経年変化による修繕費用は「貸主の負担だ」という世論が形成されてきました。
中には、それらを借主に負担させる特約は「法律違反だ」という勘違いも生まれています。
テレビ番組まで、そのような誤った主張をするときがあります。
ご存じの通り、我が国には「契約自由の原則」があるので、貸主と借主が合意すれば、通常損耗や経年変化による修繕費用の一部を、借主に負担してもらうことは可能です。
たとえば、ルームクリーニング費用○○円、エアコンのクリーニング費用○○円、キッチンとトイレの消毒費用○○円を列挙して、「この通常損耗や経年変化の修繕費用は借主の負担とします」と書くことは有効です。
ただし、本来は借主が負担しなくても良い費用なので、それを負担する特約は借主の不利になりますから、契約時に納得してもらうことが必要です。
負担させる金額も一定限度を超えることは認められません。
「通常損耗や経年変化の修繕費用として」という理由と、その目的物と金額を明記する必要があります。
借主に納得させないまま契約して後日トラブルとなったとき、「契約書に書いてあるから」という事業者側の説明は、なかなか認められないのです。
しっかりした契約書類を作り、きっちりと説明をしてもらう必要があります。
これらのことを安心して任せることのできる、仲介・管理会社に依頼しなければなりません。
その他にも、「敷金2ヶ月分のうちの1ヶ月分を償却する」という約束も有効です。
ペット可なら、通常の敷金とは別に「ペット敷金」を預かって、それを償却して返還しない、という特約も有効です。
ただし有効とするには、①借主が自分に不利な条件に納得して、契約条項に確認の署名をしていること、②借主が負担する費用の目的が、通常損耗や経年変化の修繕費用と明示されて、金額が妥当な範囲内であること、が必要なのは、前述の通りです。
原状回復工事を退去のたびに「しっかりと」行うとしたら、その多額の費用負担は賃貸経営を圧迫しますので、このように、一部でも借主に負担してもらう方法があることを、知っておく必要があります。
ただし「知ったうえ」で、原状回復工事の「どこまでを」借主負担とするかは選択の余地があります。
借主の不利な条件で募集することで、部屋が決まらなかったら「元も子も」ありません。
退去時の工事をスムーズに進めて、一日も早くお客様に見ていただきたいのに、もし費用負担で揉めてしまうと工事が遅れて、ズルズルと募集の機会を失ってしまうリスクもあります。
この辺のバランスを考えながら、原状回復工事の「どこまで行うのか」と、「貸主の出費をどう抑えるか」を考えることは、空室対策としてとても重要な選択です。
1番は「どこまで行うのか」です。
空室対策の観点から、原状回復工事の内容を考える必要があります。
2番は「貸主の出費をどう抑えるか」です。
入退去のたびに、高額の原状回復費用を貸主が負担しなければならない、としたら、賃貸経営は成り立つのでしょうか。
この2点に焦点を当ててみます。
原状回復の目的は、「次の入居募集のために商品価値を整える」ことです。
「価値を整える」ところの「価値」とは、貸主さんが求める「家賃」によって異なります。
「家賃を高く貸したい」ときは価値も高める必要がありますので、それなりの、バリューアップを伴った原状回復工事が必要です。
反対に、相場が下がっているし、新築や築浅のライバル物件が多いので、お金をかけるよりは「値下げをして貸す」ときは、気になる箇所だけの原状回復工事で充分です。
仲介・管理会社が「リフォームをしましょう」とか「家賃を下げましょう」と提案するのは、必ずしもオーナーの都合を考えてのこととは限らないので、貸主としては、自身の考え、自身の都合で「どこまで原状回復工事を行うか」を決めるべきです。
ご自身の考えを伝えた上で、仲介・管理会社にアドバイスを求めてください。
原状回復工事を「気になる箇所だけ」で済ませるか、「バリューアップを伴った内容」で勝負に出るかは、物件の築年数によっても選択がかわります
。
築10年を過ぎると、新築・築浅の強みは消えていますし、設備も、修繕か交換の時期を迎えています。
数年後には大規模修繕の時期が迫っていますから、それに合わせて「バリューアップ工事をする」という考えは合理的です。
また築20年を過ぎると、そのときのお客様のニーズに「まったく」合わなくなっています。
設備も交換しなければならない時期です。
木造なら「建替え時期」も意識しながら、2回目の大規模修繕に合わせてリノベーションするか、費用をかけないで取り壊しまで、家賃の値下げ戦略を基本として経営するか、の選択です。
オーナーの賃貸経営に対する、目的と考え方次第で選択肢が違ってきます。
原状回復工事は、その都度、賃貸経営の先行きを考えた上で、適切な投資をしていただきたいと思います。
さて、どちらにしても、退去の度に費用がかかることは避けられません。
この費用の大部分をオーナーが負担するか、出来る限り借主に負担を求めてオーナーの支出を抑えるか、この方針にも選択があります。
国土交通省のガイドラインが世に広まりました。
東京では東京ルールが施行されて、退去時の通常損耗や経年変化による修繕費用は「貸主の負担だ」という世論が形成されてきました。
中には、それらを借主に負担させる特約は「法律違反だ」という勘違いも生まれています。
テレビ番組まで、そのような誤った主張をするときがあります。
ご存じの通り、我が国には「契約自由の原則」があるので、貸主と借主が合意すれば、通常損耗や経年変化による修繕費用の一部を、借主に負担してもらうことは可能です。
たとえば、ルームクリーニング費用○○円、エアコンのクリーニング費用○○円、キッチンとトイレの消毒費用○○円を列挙して、「この通常損耗や経年変化の修繕費用は借主の負担とします」と書くことは有効です。
ただし、本来は借主が負担しなくても良い費用なので、それを負担する特約は借主の不利になりますから、契約時に納得してもらうことが必要です。
負担させる金額も一定限度を超えることは認められません。
「通常損耗や経年変化の修繕費用として」という理由と、その目的物と金額を明記する必要があります。
借主に納得させないまま契約して後日トラブルとなったとき、「契約書に書いてあるから」という事業者側の説明は、なかなか認められないのです。
しっかりした契約書類を作り、きっちりと説明をしてもらう必要があります。
これらのことを安心して任せることのできる、仲介・管理会社に依頼しなければなりません。
その他にも、「敷金2ヶ月分のうちの1ヶ月分を償却する」という約束も有効です。
ペット可なら、通常の敷金とは別に「ペット敷金」を預かって、それを償却して返還しない、という特約も有効です。
ただし有効とするには、①借主が自分に不利な条件に納得して、契約条項に確認の署名をしていること、②借主が負担する費用の目的が、通常損耗や経年変化の修繕費用と明示されて、金額が妥当な範囲内であること、が必要なのは、前述の通りです。
原状回復工事を退去のたびに「しっかりと」行うとしたら、その多額の費用負担は賃貸経営を圧迫しますので、このように、一部でも借主に負担してもらう方法があることを、知っておく必要があります。
ただし「知ったうえ」で、原状回復工事の「どこまでを」借主負担とするかは選択の余地があります。
借主の不利な条件で募集することで、部屋が決まらなかったら「元も子も」ありません。
退去時の工事をスムーズに進めて、一日も早くお客様に見ていただきたいのに、もし費用負担で揉めてしまうと工事が遅れて、ズルズルと募集の機会を失ってしまうリスクもあります。
この辺のバランスを考えながら、原状回復工事の「どこまで行うのか」と、「貸主の出費をどう抑えるか」を考えることは、空室対策としてとても重要な選択です。