離婚する時、所有している家はどうする?
「離婚する時に家はどうする?」
Aさんは、事情はともあれ、奥さんと離婚に向けて話し合いを続けています。
慰謝料や月々の生活費の額、支払い方法などはどうやらまとまりそうな段階まできました。
ただ、そこまで来て、問題となってきたのが、8年前に購入したマンションの扱い。住宅ローンはあと22年も残っています。
名義はAさんが3分の2で奥さんが3分の1の共有名義。
売却するのがいいのか、どちらかが住むのがいいのか… さて、どうしたらいいのでしょうか?
「まずは売却を検討」
離婚しようとする夫婦が共有名義で不動産を所有する場合。
選択肢はいくつかありますが、特に住宅ローンが残っている場合は、まずは売却を検討することをお薦めします。
なぜ、売却した方がいいのかを、売却しなかった時の問題点から考えてみましょう。
共有名義の不動産をそのまま所有し続ける場合に予想される問題点のひとつめは、将来売却しようとしても、お互いの都合が合わず、売ろうにも売れない状態になってしまう危険がありということです。
今回のAさんには子供はいませんが、もしどちらかが子供と一緒に住み続けたような場合、住んでいる人間は住み続けたい。
住んでいない方は、例えば住宅ローンの支払いが厳しくなってきたので売却したいなど、離婚してしまうと両者の希望は合わないのが基本と考えておく必要があります。
「共同名義のリスク」
共有名義のまま残しておく場合のふたつめの問題点は、万一、どちらかが亡くなってしまった時に、亡くなった人の名義はその人の相続人が相続することになるということです
もし、なくなった人が再婚して、子供がいたら、ひとつのマンションをまったく面識のない人間同士が所有することになります。
そうなると、その不動産をどうするか、すんなりと話がまとまる方が少ないことが象像されます。
また、例としては多くありませんが、自分の持分を第三者に売却してしまう危険もあります。
不動産はマンションならマンションそのものを売却するしかないと思いがちですが、自分の持分だけを売却することも可能なのです。
これまた、大きな問題を抱えることになってしまいます。
「単独名義に変える」
以上の例から、離婚してからも、不動産を共有名義で持ち続けるには相当にリスクが高いことがお分かりいただけたかと思います。
こういったことからも、まずは売却を検討した方がいいということなのですが、それでもどうしても、売却せずに住み続けたいというような場合は、単独名義に変えることを検討しましょう。
ただ、これも一筋縄ではいきません。
つまり、どちらか一方が慰謝料として不動産をもらうという形式をとるという方法です。
離婚の慰謝料には税金がかかりませんので、贈与税の心配もいりません。
ただ、いいことばかりでもありません。ひとつは、慰謝料を不動産であげた方に税金がかかる場合があるということです。
これは税務上、不動産をあげた方はお金の代わりに、不動産を売って慰謝料を払ったとみなされてしまい、マンションを買った時より、価値が上がっている時は利益が出たとみなされて、課税される可能性があるということです。なので、必ず税理士等の専門家のアドバイスが必要になります。
ふたつめは、住宅ローンをどうするかという問題。
例えば、離婚して不動産は元奥さんの名義で、住宅ローンの返済はそこに住んでいない元夫という場合。
もし、元夫が住宅ローンを滞納したら、いくら離婚をしているからと言っても、支払いの責任から逃れることはできず、最悪は不動産を売却せざるを得なくなります。
それではと、言って不動産を単独する方に安定した収入がなければ、住宅ローンの借り換えも難しいのが現実です。
簡単に単独名義にと言えない理由がここにあります。
いかがでしょう。何も共有名義を避ける必要はありません。
不動産を買う時に、離婚の事を考えて検討する夫婦はいません。
要は、離婚する場合は、特に不動産については専門家のアドバイスを受けながら、出来る限りリスクを避けて話し合いをする必要があるというお話です。