賃貸経営とは、100年後も続く商売
「本当の賃貸経営がはじまるとき」
お部屋が満室になれば、オーナーは「ほっと一息」つかれることでしょう。たとえば新築で、すべての部屋が埋まって入居が完了したとき。
あるいは一部屋が退去して、その部屋が3ヶ月ぶりに入居申し込みが入ったとき。「これで一安心」と胸を撫で下ろすことでしょう。
そのお気持ちはよく解ります。
しかし、ここで気を抜いてはいけません。ここから本当の賃貸経営が始まります。
100年後も続く商売だから
Aさんが10万円でカメラを買ったとします。
さんざん「どれにしようか」迷ったすえに、あるカメラを選びました。
Aさんにとって その選択が正しいか間違っていたかは この時点では分かりません。
実際にカメラを何度も使ってみて、使い方についてメーカーに問い合わせたり、故障したときに相談したり、その総合的な結果で「買って良かったかどうか」を判定します。
よければファンになって友人にも勧めるでしょうし、何台も買い換えるかもしれません。
今やインターネットでは、その「口コミ」の威力は絶大です。
売ったメーカー側もそのことは心得ていて、アフターサービスに力を入れています。
100年後でも続かせたい、「売ったら終わり」の商売ではないのですから。
オーナー様もご存じの通り、これは賃貸経営という商売も同じです。
入居した時点では借主は、「ここで良かったのだろうか」と思っています。
売り手であるオーナー側は、「住んでよかった」と感じてもらうための“アフターフォロー”が必要なのです。
そのために管理会社があるのですが、オーナー様にも理解していただいて、ご一緒に考えていただくとが大切です。
なぜ「住んでよかった」なのか
借主から「住んでよかった」と判断してもらうことのメリットを整理してみましょう。
まず「長く住んでもらえる」ことです。
オーナー様にとっては空室を発生させないことがなにより一番です。
そして、お部屋や施設を気に入ってもらえれば「家賃を下げて」という交渉は起きくいですから、入居したときの条件のまま、住み続けてもらえます。
さらに満足している借主は、他の借主にとっても「よい存在」となります。
入居者同士のコミュニティが育てば、もっと「住みやすい空間」になるでしょう。
満足度が高ければ、空室が出たときに友人に紹介してくれるかもしれません。
また、設備の故障などの不測の事態が発生したとき、オーナー側との関係がよければ、大きなクレームには発展しません。
(もちろん管理側の対応が大事なのですが)
そして退去のときも、金銭的な揉め事を防止してくれます。
オーナー様も、借主との関係が良く、快適に暮らしていることが感じられれば、賃貸経営が意義あるものになり楽しいのではないでしょうか。
「清潔で綺麗で明るい共用部」
では具体的にどうすれはよいでしょう。
カメラのメーカーなら、カメラの品質を価格の範囲内で可能な限り良くします。お客様の声を聞いて改良を重ねます。
そして質問や要望や苦情があれば真摯(しんし)に対応しようとするでしょう。
賃貸物件では、すでにご存じのことですが まず“共用部分”に気を配ります。
「清潔で綺麗で明るい共用部」が“合い言葉”です。
共用設備についても、不具合が起きるのを未然に防いで、起きたとしても速やかに対処することです。
長く住んでいただいたお客様(借主)に対しては、その期間に応じて新しい設備やその他のサービスで報いることが大切です。
しかし、お客様を大切にすることは第一ですが、他のお客様に迷惑をかける借主がいたら、断固注意して、場合によっては排除することが必要な場合もあるでしょう。
このような「借主の満足感を高める」ための具体的な事柄については、また別の機会にいくつもの事例で紹介させていただきます。
物を売る商売で大切な考えとして、「買っていただいたときでなく、満足いただいたときを大切に」という言葉があります。
賃貸経営にも通じる考えです。