おすすめ 賃貸の本 「ちょっと待った!!大家さん! その敷金そんなに返す必要はありません!!」 大谷郁夫 著
大家さんのために戦う弁護士さんの本。
敷金問題や家賃滞納や修繕費用負担など、入居者との金銭トラブルにどう対処すればよいか、賃貸経営するには、知っておきたい知識が満載です。
まず最初の「序章」は、敷金返還問題の背景と対処法です。
「貸主には敷金全額の返還義務がある」という考えは間違っていて、借主が払うべきお金が残っていたら、敷金から差し引けること。
そして、敷金から何を差し引くかは「契約書の記載内容で決められる」という事実を抑えましょう。
だから大家さんは、入居者のムチャな要求は、はっきり断りなさい!という主張に勇気づけられます。
その上で、法律を知り理論武装することと、賃貸借契約書をしっかりと見直すことを勧めています。
「第1章」は、敷金返還問題を減らすための具体的な方法です。
大家さんが敷金から差し引けるお金は、つぎの2つ。
①法律上当然に差し引いていいお金。
借主のミスで壊れたり汚れたりした部分です。
②契約書に特約があれば差し引いていいお金。
借主が普通に使ったり、時間の経過で自然に古くなったり壊れたり汚れたりした部分です。
改正される民法の規定では大家さんの負担となっていますが、契約書に明記しておけば、敷金から差し引いて構いません。
それは最高裁でも認められています。
「第2章」は、更新料や立退料など敷金以外のお金のトラブルです。
合意更新の地域では、更新料は自信をもって請求することと、立退料の相場や、立退料を安くする方法について解説しています。
「第3章」は、入居者の理不尽なクレームへの対処法です。
大家さんの「修繕義務」とは何か?これについて正しい認識を持つこと。
大家さんに修繕義務があるかどうかは、3つの基準で判断します。
1.破損した部分は大家さんが提供すべき設備か。
2.破損した原因は何か。
3.破損によって部屋の使用に支障が生じているか。
この基準によって判定して、修繕義務がなければ、キッパリ断ってもOKです。
その他にも、入居者の自殺や、火事で全焼したときや、行方不明者との契約解除などの事例から、それぞれの対処法を解説しています。
「第4章」は、家賃滞納の予防方法と家賃回収術です。
督促は、滞納が起きたら素早く動くこと。
本人に督促して、連帯保証人に連絡し、内容証明で催告する。
そして未払いが2ヶ月分になったら解除通告をして、3ヶ月分になったら裁判を開始するくらいのスピード感が必要。
特に法的手続きとして「少額訴訟」を紹介しています。
「第5章」は、契約書作成のポイントです。
大家さんに有利な契約書の書き方を実例で紹介しています。
大家さんも法律を知って理論武装して、「主張すべきことは主張しよう」と謳っています。