繁忙期のうちに、オーナーと管理会社が協力して、空室と退去予定の部屋を満室にしなければなりません。
基本的な空室対策を、お復習い(さらい)しておきましょう。
まず物件には競争力が必要です。
と言ってもライバルに「圧倒的な差」をつけると費用対効果が合わなくなりますので、「ちょっとした特徴を持たせる」という程度でよいのです。
繁忙期とは、例えば100戸の1Kが募集中のところに70~80人のお客様が部屋を探しに来て、結果として20~30戸の空室が残るという期間です。
通常よりも「出入り」が多いだけで、繁忙期だから全ての空室が埋まるのではありません。
ここで選ばれる「何か」を持たないと空室として残されてしまうでしょう。
その「何か」とは、立地や、外観や、設備や、間取りなど、物件によって異なります。
ある物件は、玄関を入った時にパッと目につくクロスを貼って、姿見用の鏡を設置するだけで「ちょっとした差」を演出しています。
キッチンやユニットバスにカラーシートを貼るだけでも「ちょっとの違い」を感じていただけます。
お客様に「ワァー」と言ってもらえる「何か」が大事なのです。
費用をかけないなら家賃を相場より5%下げるとか、フリーレント等のサービスも「何か」のひとつです。
これが競争力になります。
そして、多くの中から部屋を見ていただいたお客様に、アピールできる用意が必要です。
たとえばオーナーからの、「内見していただいて有り難うございます」という感謝のメッセージを掲示しておくことで、オーナーの気持ちを伝えることができます。
不快な空気が充満した部屋には空気の入れ換えが必要です。
もし、物件の近くにお住まいでしたら、天気の良い日には窓を開放して空気の入れ替えをしてください。
管理会社に任せていると思いますが、オーナーほどは頻繁には来られないでしょう。
ご自身がやることによって、募集中の部屋に細かな気遣いが生まれます。
それが、部屋を見に来たお客様に伝わります。
お客様が部屋を見たときに、何もない殺風景な部屋より生活感の感じられる部屋の方が良いに決まっています。
そこで、玄関マットや照明器具やカーテンなどを取り付けるようにしましょう。
気に入ったなら、そのままお客様に使ってもらうことが出来ますし、それが部屋を決める「きっかけ」となることもあるのです。
「他の部屋に差を付ける」と言っても、予算の都合で「少しの差」しか演出できていないとしたら,最後は「見せ方」が勝負になります。
そして100戸の空室に対して70~80人のお客様しかいないとしたら、アピールできることは何でもする必要があります。
すでに繁忙期の真っ最中ですので、基本的な空室対策を実施されて、ぜひ良い結果を残していただきたいと思います。
基本的な空室対策を、お復習い(さらい)しておきましょう。
まず物件には競争力が必要です。
と言ってもライバルに「圧倒的な差」をつけると費用対効果が合わなくなりますので、「ちょっとした特徴を持たせる」という程度でよいのです。
繁忙期とは、例えば100戸の1Kが募集中のところに70~80人のお客様が部屋を探しに来て、結果として20~30戸の空室が残るという期間です。
通常よりも「出入り」が多いだけで、繁忙期だから全ての空室が埋まるのではありません。
ここで選ばれる「何か」を持たないと空室として残されてしまうでしょう。
その「何か」とは、立地や、外観や、設備や、間取りなど、物件によって異なります。
ある物件は、玄関を入った時にパッと目につくクロスを貼って、姿見用の鏡を設置するだけで「ちょっとした差」を演出しています。
キッチンやユニットバスにカラーシートを貼るだけでも「ちょっとの違い」を感じていただけます。
お客様に「ワァー」と言ってもらえる「何か」が大事なのです。
費用をかけないなら家賃を相場より5%下げるとか、フリーレント等のサービスも「何か」のひとつです。
これが競争力になります。
そして、多くの中から部屋を見ていただいたお客様に、アピールできる用意が必要です。
たとえばオーナーからの、「内見していただいて有り難うございます」という感謝のメッセージを掲示しておくことで、オーナーの気持ちを伝えることができます。
不快な空気が充満した部屋には空気の入れ換えが必要です。
もし、物件の近くにお住まいでしたら、天気の良い日には窓を開放して空気の入れ替えをしてください。
管理会社に任せていると思いますが、オーナーほどは頻繁には来られないでしょう。
ご自身がやることによって、募集中の部屋に細かな気遣いが生まれます。
それが、部屋を見に来たお客様に伝わります。
お客様が部屋を見たときに、何もない殺風景な部屋より生活感の感じられる部屋の方が良いに決まっています。
そこで、玄関マットや照明器具やカーテンなどを取り付けるようにしましょう。
気に入ったなら、そのままお客様に使ってもらうことが出来ますし、それが部屋を決める「きっかけ」となることもあるのです。
「他の部屋に差を付ける」と言っても、予算の都合で「少しの差」しか演出できていないとしたら,最後は「見せ方」が勝負になります。
そして100戸の空室に対して70~80人のお客様しかいないとしたら、アピールできることは何でもする必要があります。
すでに繁忙期の真っ最中ですので、基本的な空室対策を実施されて、ぜひ良い結果を残していただきたいと思います。
今回は定期借家契約についてです。
敬遠されがちな定期借家契約の利点を座談形式で見ていきましょう。
司会 今回は、成立して15年が経過した定期借家について話をしてください。
ご所有の物件で、定期借家を採用されている方はいますか?
B 僕は基本的に定借です。
司会 5人の中でBさんだけなのですね。
T Bさんは、全部の部屋を定借で募集されているのですか?
B 基本は全部ですが、大手の法人はダメなところもあるので臨機応変にしています。
M なぜ、定期借家なのですか?
B こちらが聞きたいです(笑)。
皆さんはなぜ、定期借家でなく普通借家なのですか?
Y 特に、普通借家で困っていることはないですからね・・・。
G 定借は家賃が下がるといいますし、不動産会社も敬遠します。
T 僕は、なかなか空室が埋まらない、という恐怖がありますね。
M 僕も家賃の高いテナント物件か、自宅の転勤貸ししか使い道がないと思っていました。
本当のところはどうなんですか?
B 僕は以前に、普通借家で貸して困ったことがあり、それから定期借家に変えました。
契約を守らない不良入居者を、なかなか追い出すことができなくて、本当に苦労しました。
M 確かに、借家権は強い権利ですから、追い出すのは大変です。
Y 定借なら契約を守らない借主を追い出す事ができるのですか?
B ええ、再契約に応じなければいいですから、難しくありません。
M どういうことですか?
B 定借には「終了型」と「再契約型」とあります。
僕は再契約型で2年ごとに再契約をするのですが、著しく契約を守らない人の場合は再契約を拒否します。
G 拒否できるのですか?
B できますよ。
そういう約束で契約していますから。
G よく、定借は家賃が下がると聞きますが、それは間違った情報ですか?
B 間違いではないと思います。
「終了型」という、たとえば転勤で2年しか貸せないような条件のときは、相場通りの家賃では借り手が現れないでしょうから、当然に下がりますよね。
でも再契約型なら、いつまでも住めるのですから、家賃を下げることはないです。
G 本当に下がらないですか?
B 下がらないです。
ただし、不動産会社さんの説得が必要です。
なかには、定借なら紹介しないとか、定借なら家賃を下げないとダメとか、入居者から嫌われるとか、いろいろなことを言う方がいますね。
まるで抵抗勢力です(笑)。
Y やはり入居者さんは定借を嫌うのでしょうか。
B そんなことはありません。
まず定借とか普通借家とかを知らないです。
初めて聞く人がほとんどなので、正しく説明すれば入居者の方は問題ないです。
T どのように説明するのです?
B お引っ越しをされて生活を始めてみないと、物件の状況は分からないですよね、と。
隣に契約を守らない借主がいるかもしれませんが、この物件は、契約を守らない借主とは再契約をしないので、契約を守る人にとっては、住み心地のよい物件になるのです、と説明しています。
T なるほど、説得力がありますね。
だけど、部屋が埋まらないのでは?
という心配がどうしてもあるんですよね。
B その心配はもっともですね。
原因は、お客様を紹介してくれる不動産会社の対応です。
定借なら紹介しない、とか、紹介しないとは言わないまでも、積極的ではない不動産会社は多いですね。
Y そんなとき、どうしているのですか?
B 部屋が空くたびに図面を持って、「定借は優良な借主に好まれる貸し方」ということを説明します。
そして、不動産会社が紹介したくなるような、魅力のある部屋にします。
時間はかかりますが、コツコツと説明を続けています。
G そこまでするほど、定借が良い貸し方なのでしょうか?
B 大家にとっては、契約を守らない借主を退去させられる、というのが大きいですね。
静かに暮らす借主さんを守ることができますから。
立退きのときに立退き料がいらないのもメリットです。
あと、家賃の改定がしやすいこと、でしょうか。
G 家賃の改定がしやすいとは?
B 定借は更新でなく、その都度、新しい契約を締結するので、普通借家よりは交渉がしやすいのです。
司会 定借のデメリットは?
B 理解のない不動産会社さんには、説得が必要ということですね。
借主さんにも説明して、理解してもらう必要があります。
事前説明書という書類が増えたり、解約の通知をしなければならないルールがあるので、不動産会社さんが面倒がります(笑)。
司会 他の方はどう思われましたか?
T 契約を守らない借主を退去させられる、というのに魅力を感じました。
真剣に前向きに検討してみようと思いました。
Y 僕も考えてみます。
司会 ありがとうございました。
敬遠されがちな定期借家契約の利点を座談形式で見ていきましょう。
司会 今回は、成立して15年が経過した定期借家について話をしてください。
ご所有の物件で、定期借家を採用されている方はいますか?
B 僕は基本的に定借です。
司会 5人の中でBさんだけなのですね。
T Bさんは、全部の部屋を定借で募集されているのですか?
B 基本は全部ですが、大手の法人はダメなところもあるので臨機応変にしています。
M なぜ、定期借家なのですか?
B こちらが聞きたいです(笑)。
皆さんはなぜ、定期借家でなく普通借家なのですか?
Y 特に、普通借家で困っていることはないですからね・・・。
G 定借は家賃が下がるといいますし、不動産会社も敬遠します。
T 僕は、なかなか空室が埋まらない、という恐怖がありますね。
M 僕も家賃の高いテナント物件か、自宅の転勤貸ししか使い道がないと思っていました。
本当のところはどうなんですか?
B 僕は以前に、普通借家で貸して困ったことがあり、それから定期借家に変えました。
契約を守らない不良入居者を、なかなか追い出すことができなくて、本当に苦労しました。
M 確かに、借家権は強い権利ですから、追い出すのは大変です。
Y 定借なら契約を守らない借主を追い出す事ができるのですか?
B ええ、再契約に応じなければいいですから、難しくありません。
M どういうことですか?
B 定借には「終了型」と「再契約型」とあります。
僕は再契約型で2年ごとに再契約をするのですが、著しく契約を守らない人の場合は再契約を拒否します。
G 拒否できるのですか?
B できますよ。
そういう約束で契約していますから。
G よく、定借は家賃が下がると聞きますが、それは間違った情報ですか?
B 間違いではないと思います。
「終了型」という、たとえば転勤で2年しか貸せないような条件のときは、相場通りの家賃では借り手が現れないでしょうから、当然に下がりますよね。
でも再契約型なら、いつまでも住めるのですから、家賃を下げることはないです。
G 本当に下がらないですか?
B 下がらないです。
ただし、不動産会社さんの説得が必要です。
なかには、定借なら紹介しないとか、定借なら家賃を下げないとダメとか、入居者から嫌われるとか、いろいろなことを言う方がいますね。
まるで抵抗勢力です(笑)。
Y やはり入居者さんは定借を嫌うのでしょうか。
B そんなことはありません。
まず定借とか普通借家とかを知らないです。
初めて聞く人がほとんどなので、正しく説明すれば入居者の方は問題ないです。
T どのように説明するのです?
B お引っ越しをされて生活を始めてみないと、物件の状況は分からないですよね、と。
隣に契約を守らない借主がいるかもしれませんが、この物件は、契約を守らない借主とは再契約をしないので、契約を守る人にとっては、住み心地のよい物件になるのです、と説明しています。
T なるほど、説得力がありますね。
だけど、部屋が埋まらないのでは?
という心配がどうしてもあるんですよね。
B その心配はもっともですね。
原因は、お客様を紹介してくれる不動産会社の対応です。
定借なら紹介しない、とか、紹介しないとは言わないまでも、積極的ではない不動産会社は多いですね。
Y そんなとき、どうしているのですか?
B 部屋が空くたびに図面を持って、「定借は優良な借主に好まれる貸し方」ということを説明します。
そして、不動産会社が紹介したくなるような、魅力のある部屋にします。
時間はかかりますが、コツコツと説明を続けています。
G そこまでするほど、定借が良い貸し方なのでしょうか?
B 大家にとっては、契約を守らない借主を退去させられる、というのが大きいですね。
静かに暮らす借主さんを守ることができますから。
立退きのときに立退き料がいらないのもメリットです。
あと、家賃の改定がしやすいこと、でしょうか。
G 家賃の改定がしやすいとは?
B 定借は更新でなく、その都度、新しい契約を締結するので、普通借家よりは交渉がしやすいのです。
司会 定借のデメリットは?
B 理解のない不動産会社さんには、説得が必要ということですね。
借主さんにも説明して、理解してもらう必要があります。
事前説明書という書類が増えたり、解約の通知をしなければならないルールがあるので、不動産会社さんが面倒がります(笑)。
司会 他の方はどう思われましたか?
T 契約を守らない借主を退去させられる、というのに魅力を感じました。
真剣に前向きに検討してみようと思いました。
Y 僕も考えてみます。
司会 ありがとうございました。
大家さんのために戦う弁護士さんの本。
敷金問題や家賃滞納や修繕費用負担など、入居者との金銭トラブルにどう対処すればよいか、賃貸経営するには、知っておきたい知識が満載です。
まず最初の「序章」は、敷金返還問題の背景と対処法です。
「貸主には敷金全額の返還義務がある」という考えは間違っていて、借主が払うべきお金が残っていたら、敷金から差し引けること。
そして、敷金から何を差し引くかは「契約書の記載内容で決められる」という事実を抑えましょう。
だから大家さんは、入居者のムチャな要求は、はっきり断りなさい!という主張に勇気づけられます。
その上で、法律を知り理論武装することと、賃貸借契約書をしっかりと見直すことを勧めています。
「第1章」は、敷金返還問題を減らすための具体的な方法です。
大家さんが敷金から差し引けるお金は、つぎの2つ。
①法律上当然に差し引いていいお金。
借主のミスで壊れたり汚れたりした部分です。
②契約書に特約があれば差し引いていいお金。
借主が普通に使ったり、時間の経過で自然に古くなったり壊れたり汚れたりした部分です。
改正される民法の規定では大家さんの負担となっていますが、契約書に明記しておけば、敷金から差し引いて構いません。
それは最高裁でも認められています。
「第2章」は、更新料や立退料など敷金以外のお金のトラブルです。
合意更新の地域では、更新料は自信をもって請求することと、立退料の相場や、立退料を安くする方法について解説しています。
「第3章」は、入居者の理不尽なクレームへの対処法です。
大家さんの「修繕義務」とは何か?これについて正しい認識を持つこと。
大家さんに修繕義務があるかどうかは、3つの基準で判断します。
1.破損した部分は大家さんが提供すべき設備か。
2.破損した原因は何か。
3.破損によって部屋の使用に支障が生じているか。
この基準によって判定して、修繕義務がなければ、キッパリ断ってもOKです。
その他にも、入居者の自殺や、火事で全焼したときや、行方不明者との契約解除などの事例から、それぞれの対処法を解説しています。
「第4章」は、家賃滞納の予防方法と家賃回収術です。
督促は、滞納が起きたら素早く動くこと。
本人に督促して、連帯保証人に連絡し、内容証明で催告する。
そして未払いが2ヶ月分になったら解除通告をして、3ヶ月分になったら裁判を開始するくらいのスピード感が必要。
特に法的手続きとして「少額訴訟」を紹介しています。
「第5章」は、契約書作成のポイントです。
大家さんに有利な契約書の書き方を実例で紹介しています。
大家さんも法律を知って理論武装して、「主張すべきことは主張しよう」と謳っています。
Q.相続税対策の中に「贈与」という手段があることは知っていましたが、どのような方法で、なぜ有効なのか、詳しく教えてください。
A.贈与とは、祖父母や両親などが、自分の財産を無償で子や孫などに与える意思表示をして、それを相手が受諾することによって成立する契約です。
親などが贈与をして相続財産を減らし、子供などの相続人が負担する相続税を減らすことができます。
ただし、その際は贈与税が発生し、その税金は贈与を受けた側、つまり子や孫が払うことになります。
たしかに相続税は減るのですが、一方で贈与税が発生しますので、合算で税負担が減るようにバランスを取ることが大切です。
贈与税は、1年につき110万円までは非課税となりますので、この制度を利用する方法が一番活用されています。
親が子に、毎年110万円ずつ贈与を続ければ、10年で1100万円の現金を、税金がかからずに、子に移転することができます。
ただし、子供に小遣いとして渡すのではないので、浪費されないように、通帳や印鑑を親が保管することがよくあります。
この場合は、親は贈与した「つもり」でも、法的には贈与が成立していないことがあるので注意が必要です。
たとえば、親が子のために毎年110万円ずつを、子名義の定期預金に積み立てて、10年後に他界したとします。
印鑑も通帳も親が管理していました。
この1100万円の定期預金は親の預金と見なされて、親の相続財産として、相続税が課税されることになってしまうのです。
この預金のことを「名義預金」といって、親が子の名義を借りているだけ、と判断されるのです。
「あげる」側と「もらう」側の両方が、その意思を示していることが条件となるのです。
この贈与を完全にするには、まず「贈与契約書」を作成して、お互いの意思を明確に示すこと。
そして、振込などの事実を通帳に残すことです。
さらに、通帳や印鑑やキャッシュカードの管理は、贈与を受けた人が行い、定期預金の書き換えなども、贈与を受けた人が行う必要があります。
筆跡までも調べられることがあるからです。
もらう側が、受け取る意思を「示している」ことを要件と説明しましたが、幼い子供や0歳の赤ちゃんの場合はどうなのでしょうか。
この場合でも、贈与契約書にその旨を書いて、親権者を立てて、成人するまで通帳や印鑑を管理することで、「贈与は成立する」と解釈されています。
ただし、相続が起こったときは、その3年以内に行われた贈与については、贈与した財産も、一度相続財産に戻して計算しなければなりません。
もちろん、すでに支払った贈与税があれば、相続税として支払うべき税金から差し引くことができます。
Q.では、現金の贈与は年間110万円以下とした方がいいのでしょうか?
A.そうとは限りません。
相続税対策のための贈与でしたら、たとえ贈与税を負担しても、その額が予定される相続税より少ないなら、節税効果が見込めます。
たとえば、親から20歳以上の子への贈与などの場合は、年間で600万円までは、「実際の税率」は12%前後になりますので、大きな負担でもありません。
大切なことは、贈与税と相続税、それぞれの税率を計算して、比較してみることです。
もうひとつ、特筆すべき制度として、2500万円まで贈与税がかからない「相続時精算課税」の贈与があります。
この「相続時精算課税」とは、祖父母または両親が、子供や孫へ贈与する制度です。
祖父母または両親が、贈与した年の1月1日時点で60歳以上であり、子や孫が同じく1月1日時点で20歳以上であることが要件となります。
特別控除額2500万円までに達するまでは、年をまたいで贈与しても、贈与税はかかりません。
2500万円を超えた分に対しては20%の贈与税がかかりますが、通常の贈与よりも税率は格段と下がります。
この贈与税は永久に払わなくてよいのか、というと、そうではありません。
この制度を使った贈与は、贈与者が死亡した時の相続税の計算対象となり、この時点で支払った贈与税と相続税を比較することになります。
支払った贈与税が相続税より多ければ還付、足らなければ、その差額を納付することになります。
「では、意味が無いではないか」と思うかもしれませんが、生前に多額の資産を移転できれば、その資産が資産を生むことで、もっと多くの価値を移転することができます。
その資金は、相続税を支払う原資として、準備することもできるのです。
この制度を使って最も得をするケースは、値上がりする財産を贈与する場合です。
なぜならば、相続税は贈与時の価格で固定されて計算されるからです。
贈与時の価格が1000万円で、相続時に1200万円に上がっていても、1000万円で相続税を計算すればよいのです。
Q.よく分かりました。それ以外に贈与による方法はありますか?
A.婚姻期間が20年を過ぎた配偶者に、自宅の土地建物などを贈与するという方法があります。2000万円までは贈与税がかかりません。
この特例を使った贈与は、相続開始3年以内であっても相続税の対象にはなりません。
極端な話をすれば、亡くなる前日でも行うことができる対策です。
別の制度ですが、2014年から、祖父母から孫への教育資金の贈与については、1500万円までが非課税となりました。
利用するには、信託銀行などで受贈者名義の「教育資金口座」を開設し、30歳で口座を精算して、その時点で残高があれば贈与税の対象となる、などの制限があります。
また、祖父母や両親から、住宅取得資金の贈与を受けた場合は一定の金額が非課税になるという「住宅資金贈与」という制度があり、前に説明した「相続時精算課税制度」と組み合わせて使うことも可能です。
ちなみに、以上の3つの「贈与の特例」も、相続開始前3年以内でも相続財産に取り込まれませんので、相続税を払う必要はありませんし、他の相続人に知られずに行うこともできます。
最後に、賃貸物件を生前に贈与する方法です。
たとえば1000万円の現金を贈与すると、額面通りに贈与税がかかりますが、同じ1000万円の価値でも賃貸建物は、低く評価されます。
ご存じの通り、建物は固定資産税評価額で評価されますので、実際の価値の6割程度となります。
さらに、賃貸建物は借家権を考慮して7割評価となるので、実際には400万円程度の財産を贈与したと見なされます。
しかも、贈与された側は、その賃貸建物からの収入を、相続税の納税資金の原資とすることができるのです。
A.贈与とは、祖父母や両親などが、自分の財産を無償で子や孫などに与える意思表示をして、それを相手が受諾することによって成立する契約です。
親などが贈与をして相続財産を減らし、子供などの相続人が負担する相続税を減らすことができます。
ただし、その際は贈与税が発生し、その税金は贈与を受けた側、つまり子や孫が払うことになります。
たしかに相続税は減るのですが、一方で贈与税が発生しますので、合算で税負担が減るようにバランスを取ることが大切です。
贈与税は、1年につき110万円までは非課税となりますので、この制度を利用する方法が一番活用されています。
親が子に、毎年110万円ずつ贈与を続ければ、10年で1100万円の現金を、税金がかからずに、子に移転することができます。
ただし、子供に小遣いとして渡すのではないので、浪費されないように、通帳や印鑑を親が保管することがよくあります。
この場合は、親は贈与した「つもり」でも、法的には贈与が成立していないことがあるので注意が必要です。
たとえば、親が子のために毎年110万円ずつを、子名義の定期預金に積み立てて、10年後に他界したとします。
印鑑も通帳も親が管理していました。
この1100万円の定期預金は親の預金と見なされて、親の相続財産として、相続税が課税されることになってしまうのです。
この預金のことを「名義預金」といって、親が子の名義を借りているだけ、と判断されるのです。
「あげる」側と「もらう」側の両方が、その意思を示していることが条件となるのです。
この贈与を完全にするには、まず「贈与契約書」を作成して、お互いの意思を明確に示すこと。
そして、振込などの事実を通帳に残すことです。
さらに、通帳や印鑑やキャッシュカードの管理は、贈与を受けた人が行い、定期預金の書き換えなども、贈与を受けた人が行う必要があります。
筆跡までも調べられることがあるからです。
もらう側が、受け取る意思を「示している」ことを要件と説明しましたが、幼い子供や0歳の赤ちゃんの場合はどうなのでしょうか。
この場合でも、贈与契約書にその旨を書いて、親権者を立てて、成人するまで通帳や印鑑を管理することで、「贈与は成立する」と解釈されています。
ただし、相続が起こったときは、その3年以内に行われた贈与については、贈与した財産も、一度相続財産に戻して計算しなければなりません。
もちろん、すでに支払った贈与税があれば、相続税として支払うべき税金から差し引くことができます。
Q.では、現金の贈与は年間110万円以下とした方がいいのでしょうか?
A.そうとは限りません。
相続税対策のための贈与でしたら、たとえ贈与税を負担しても、その額が予定される相続税より少ないなら、節税効果が見込めます。
たとえば、親から20歳以上の子への贈与などの場合は、年間で600万円までは、「実際の税率」は12%前後になりますので、大きな負担でもありません。
大切なことは、贈与税と相続税、それぞれの税率を計算して、比較してみることです。
もうひとつ、特筆すべき制度として、2500万円まで贈与税がかからない「相続時精算課税」の贈与があります。
この「相続時精算課税」とは、祖父母または両親が、子供や孫へ贈与する制度です。
祖父母または両親が、贈与した年の1月1日時点で60歳以上であり、子や孫が同じく1月1日時点で20歳以上であることが要件となります。
特別控除額2500万円までに達するまでは、年をまたいで贈与しても、贈与税はかかりません。
2500万円を超えた分に対しては20%の贈与税がかかりますが、通常の贈与よりも税率は格段と下がります。
この贈与税は永久に払わなくてよいのか、というと、そうではありません。
この制度を使った贈与は、贈与者が死亡した時の相続税の計算対象となり、この時点で支払った贈与税と相続税を比較することになります。
支払った贈与税が相続税より多ければ還付、足らなければ、その差額を納付することになります。
「では、意味が無いではないか」と思うかもしれませんが、生前に多額の資産を移転できれば、その資産が資産を生むことで、もっと多くの価値を移転することができます。
その資金は、相続税を支払う原資として、準備することもできるのです。
この制度を使って最も得をするケースは、値上がりする財産を贈与する場合です。
なぜならば、相続税は贈与時の価格で固定されて計算されるからです。
贈与時の価格が1000万円で、相続時に1200万円に上がっていても、1000万円で相続税を計算すればよいのです。
Q.よく分かりました。それ以外に贈与による方法はありますか?
A.婚姻期間が20年を過ぎた配偶者に、自宅の土地建物などを贈与するという方法があります。2000万円までは贈与税がかかりません。
この特例を使った贈与は、相続開始3年以内であっても相続税の対象にはなりません。
極端な話をすれば、亡くなる前日でも行うことができる対策です。
別の制度ですが、2014年から、祖父母から孫への教育資金の贈与については、1500万円までが非課税となりました。
利用するには、信託銀行などで受贈者名義の「教育資金口座」を開設し、30歳で口座を精算して、その時点で残高があれば贈与税の対象となる、などの制限があります。
また、祖父母や両親から、住宅取得資金の贈与を受けた場合は一定の金額が非課税になるという「住宅資金贈与」という制度があり、前に説明した「相続時精算課税制度」と組み合わせて使うことも可能です。
ちなみに、以上の3つの「贈与の特例」も、相続開始前3年以内でも相続財産に取り込まれませんので、相続税を払う必要はありませんし、他の相続人に知られずに行うこともできます。
最後に、賃貸物件を生前に贈与する方法です。
たとえば1000万円の現金を贈与すると、額面通りに贈与税がかかりますが、同じ1000万円の価値でも賃貸建物は、低く評価されます。
ご存じの通り、建物は固定資産税評価額で評価されますので、実際の価値の6割程度となります。
さらに、賃貸建物は借家権を考慮して7割評価となるので、実際には400万円程度の財産を贈与したと見なされます。
しかも、贈与された側は、その賃貸建物からの収入を、相続税の納税資金の原資とすることができるのです。
民泊ビジネスとは
最近、話題になっている民泊とは、外国人観光客を相手に、個人が住宅の空室やマンションの部屋などに「有料で」泊める行為のことを指します。
その背景には、日本を訪問する外国人観光客が増えていて、宿泊施設が足らない、という事情があります。
もうひとつは、予算面の問題や、ホテルより畳の部屋など「日本の文化を感じたい」という、外国人観光客の希望なども挙げられのでしょう。
一方の供給側にも、高齢化などにより空き室が増えていることと、賃貸物件の空室問題があります。
実は、この民泊行為は旅館業法という法律に触れています。
この法律は、「有料で宿泊させる場合は、フロントの設置や寝室の面積など、必要な施設が一定の基準を満たさなければならない」、と定められているのです。
この法律が一般に認識されていないためか、空き家や賃貸物件の空室を、外国人旅行客に短期貸しする民泊ビジネスが増えていて、東京では逮捕者まで出る事態になっています。
今後は規制緩和の方向へ
これに対して政府は、これからもっと増やしたい外国人観光客の宿泊先として活用したい、という思惑があるので、民泊ビジネスを適正化していく考えのようです。
具体的には、民泊に特化した新しい法律を制定するか、現在の旅行業法を改正して、営業種別に「民泊営業」というものを追加する案などが取りざたされています。
もちろん、現状の違法事例は取り締まりつつ、ということなので、いま無許可で行うと、見つかれば指導されて、従わなければ処罰されることになります。
民泊ビジネスを適正化するルール策定は、2016年の秋頃までとも言われています。
国家戦略特区として、旅館業法の適用が除外される地域を指定していますが、東京都大田区と大阪府が名乗りをあげていて、2016年から全国に先駆けて解禁される予定です。
その場合でも、立ち入り調査を実施し、滞在者名簿を義務化し、滞在者のパスポートを確認させ、6泊7日以上の長期滞在を条件とする、などの制約を設けています。
Airbnb(エアービーアンドビー)
では外国人は日本を訪れる前に、どのようにして日本国内の個人の空室を知るのかというと、それを仲介する事業者がいて、インターネット上で簡単に探せるサイトを運営しています。
貸したい個人が自分の部屋を、無料で簡単に登録することができ、その情報を全世界の人が見ることが可能なのです。
その事業者の代表格は、Airbnb(エアービーアンドビー)と言って、2014年5月に日本にも進出しました。
すでに日本国内で2万1千件もの「貸したい情報」が登録されているそうです。
たとえば5万円の貸室でも、1日3000円~4000円で貸し出すと、稼働率が半分でも4万5千円から6万円の収入になります。
7割の稼働なら8万を超す収入になるので、ただの空室対策というより、積極的に収入アップを狙っているのです。
オーナーとしてどうするか?
さて、賃貸経営のオーナーとして、このニュースを、どのように捉えればよいのでしょうか。
もし、規制の緩和を待って、空室を外国人観光客に短期貸しした場合、まず問題として考えられるのは、衛生面や宿泊者の安全確保です。
犯罪が起きないか、という観点での懸念もありますし、近隣トラブルの増加が予想されます。
実際に報告されている事例には、部屋に調理の臭いがついてしまい、多額のリフォーム費用がかかってしまったとか、室内でスーツケースを引きずったために、フローリングがボロボロになったとか、室内でパーティーのように騒がれたり、という事態も起こっているようです。
最悪なのは、優良入居者が退去してしまうことでしょう。
もし、民泊を活用するなら、大阪府の条例のように、滞在者のパスポートを確認して、一定期間以上の滞在しか受け付けない、等の取り決めを、最低でも実施する必要があります。
そんなことより、「民泊なんかに貸さない!」というオーナーさんも多いと思われますが、もうひとつ、注意をしなければならないことがあります。
それは、賃貸物件の「不正使用」です。
不正使用を許さない!
自分が住まないのに貸室を借りて、それを外国人旅行者に転貸して、そこで収益をあげる人たちがいるのです。
オーナーとの賃貸借契約に違反して、さらに旅行業法などにも触れる「ダブル違反行為」です。
もし、その行為にオーナーが同意していたとしても、旅行業法違反は事実ですし、優良入居者が退去してしまうなど、それによって被害を受けるのはオーナーです。
その人たちは、たとえば5万円で借りた部屋を貸し出して、その差益を得ようというのです。
すでにインターネットでは、「それによって500万円の収益を、毎月稼いでいる」と豪語している人も登場しています。
「自分も楽に稼ぎたい」という者が、後から続くのではと危惧されます。
全国で頻発しているほどの事態ではないにしても、そのような輩(やから)は、これから、さらに増えていくでしょう。
旅行業法や関連法のルール整備によって民泊ビジネスが合法化されれば、さらに増えることが予想されます。
入居する理由をしっかり確認して、入居審査の徹底など、水際での防御に気を付けなければなりません。
積極的に活用するには
さて、この民泊を、空室対策として積極的に「活用しよう」という考えもあります。
もちろん、民泊が合法化されていることが前提です。
たしかに、ホテルや旅館以外の宿泊先を望む旅行者が増え、一方で空き家や空室が問題になっていて、両方を簡単に結びつける方法が存在するのですから、旅行者に民泊させるのは、双方の問題を解決する「策」ではあります。
もし観光地が近く、需要が望めるような条件なら、「一棟丸ごと民泊物件」として活用することは可能でしょう。
大学が移転してガラ空きになった物件とか、社宅で貸していた建物が解約で戻ってきた物件とか、あるいは一戸建て貸家などは、この民泊は活用できるのではないでしょうか。
ただし、ファミリーやカップル世帯向けの、一般の入居者さんが住んでいる物件で、外国人の民泊を併用することは、お勧めできません。
さて、「外国人旅行客のことなど自分には関係ない」と思われるかもしれませんが、賃貸経営のオーナーとして、この「民泊の推進」という事態が日本で進んでいることは、知っておいていただきたいと思います。
最近、話題になっている民泊とは、外国人観光客を相手に、個人が住宅の空室やマンションの部屋などに「有料で」泊める行為のことを指します。
その背景には、日本を訪問する外国人観光客が増えていて、宿泊施設が足らない、という事情があります。
もうひとつは、予算面の問題や、ホテルより畳の部屋など「日本の文化を感じたい」という、外国人観光客の希望なども挙げられのでしょう。
一方の供給側にも、高齢化などにより空き室が増えていることと、賃貸物件の空室問題があります。
実は、この民泊行為は旅館業法という法律に触れています。
この法律は、「有料で宿泊させる場合は、フロントの設置や寝室の面積など、必要な施設が一定の基準を満たさなければならない」、と定められているのです。
この法律が一般に認識されていないためか、空き家や賃貸物件の空室を、外国人旅行客に短期貸しする民泊ビジネスが増えていて、東京では逮捕者まで出る事態になっています。
今後は規制緩和の方向へ
これに対して政府は、これからもっと増やしたい外国人観光客の宿泊先として活用したい、という思惑があるので、民泊ビジネスを適正化していく考えのようです。
具体的には、民泊に特化した新しい法律を制定するか、現在の旅行業法を改正して、営業種別に「民泊営業」というものを追加する案などが取りざたされています。
もちろん、現状の違法事例は取り締まりつつ、ということなので、いま無許可で行うと、見つかれば指導されて、従わなければ処罰されることになります。
民泊ビジネスを適正化するルール策定は、2016年の秋頃までとも言われています。
国家戦略特区として、旅館業法の適用が除外される地域を指定していますが、東京都大田区と大阪府が名乗りをあげていて、2016年から全国に先駆けて解禁される予定です。
その場合でも、立ち入り調査を実施し、滞在者名簿を義務化し、滞在者のパスポートを確認させ、6泊7日以上の長期滞在を条件とする、などの制約を設けています。
Airbnb(エアービーアンドビー)
では外国人は日本を訪れる前に、どのようにして日本国内の個人の空室を知るのかというと、それを仲介する事業者がいて、インターネット上で簡単に探せるサイトを運営しています。
貸したい個人が自分の部屋を、無料で簡単に登録することができ、その情報を全世界の人が見ることが可能なのです。
その事業者の代表格は、Airbnb(エアービーアンドビー)と言って、2014年5月に日本にも進出しました。
すでに日本国内で2万1千件もの「貸したい情報」が登録されているそうです。
たとえば5万円の貸室でも、1日3000円~4000円で貸し出すと、稼働率が半分でも4万5千円から6万円の収入になります。
7割の稼働なら8万を超す収入になるので、ただの空室対策というより、積極的に収入アップを狙っているのです。
オーナーとしてどうするか?
さて、賃貸経営のオーナーとして、このニュースを、どのように捉えればよいのでしょうか。
もし、規制の緩和を待って、空室を外国人観光客に短期貸しした場合、まず問題として考えられるのは、衛生面や宿泊者の安全確保です。
犯罪が起きないか、という観点での懸念もありますし、近隣トラブルの増加が予想されます。
実際に報告されている事例には、部屋に調理の臭いがついてしまい、多額のリフォーム費用がかかってしまったとか、室内でスーツケースを引きずったために、フローリングがボロボロになったとか、室内でパーティーのように騒がれたり、という事態も起こっているようです。
最悪なのは、優良入居者が退去してしまうことでしょう。
もし、民泊を活用するなら、大阪府の条例のように、滞在者のパスポートを確認して、一定期間以上の滞在しか受け付けない、等の取り決めを、最低でも実施する必要があります。
そんなことより、「民泊なんかに貸さない!」というオーナーさんも多いと思われますが、もうひとつ、注意をしなければならないことがあります。
それは、賃貸物件の「不正使用」です。
不正使用を許さない!
自分が住まないのに貸室を借りて、それを外国人旅行者に転貸して、そこで収益をあげる人たちがいるのです。
オーナーとの賃貸借契約に違反して、さらに旅行業法などにも触れる「ダブル違反行為」です。
もし、その行為にオーナーが同意していたとしても、旅行業法違反は事実ですし、優良入居者が退去してしまうなど、それによって被害を受けるのはオーナーです。
その人たちは、たとえば5万円で借りた部屋を貸し出して、その差益を得ようというのです。
すでにインターネットでは、「それによって500万円の収益を、毎月稼いでいる」と豪語している人も登場しています。
「自分も楽に稼ぎたい」という者が、後から続くのではと危惧されます。
全国で頻発しているほどの事態ではないにしても、そのような輩(やから)は、これから、さらに増えていくでしょう。
旅行業法や関連法のルール整備によって民泊ビジネスが合法化されれば、さらに増えることが予想されます。
入居する理由をしっかり確認して、入居審査の徹底など、水際での防御に気を付けなければなりません。
積極的に活用するには
さて、この民泊を、空室対策として積極的に「活用しよう」という考えもあります。
もちろん、民泊が合法化されていることが前提です。
たしかに、ホテルや旅館以外の宿泊先を望む旅行者が増え、一方で空き家や空室が問題になっていて、両方を簡単に結びつける方法が存在するのですから、旅行者に民泊させるのは、双方の問題を解決する「策」ではあります。
もし観光地が近く、需要が望めるような条件なら、「一棟丸ごと民泊物件」として活用することは可能でしょう。
大学が移転してガラ空きになった物件とか、社宅で貸していた建物が解約で戻ってきた物件とか、あるいは一戸建て貸家などは、この民泊は活用できるのではないでしょうか。
ただし、ファミリーやカップル世帯向けの、一般の入居者さんが住んでいる物件で、外国人の民泊を併用することは、お勧めできません。
さて、「外国人旅行客のことなど自分には関係ない」と思われるかもしれませんが、賃貸経営のオーナーとして、この「民泊の推進」という事態が日本で進んでいることは、知っておいていただきたいと思います。