Q.前回、「生前贈与」についての回答を読ませていだきましたが、「家族信託」がどのようなものかと、その活用法を教えてください。
A.「信託」を一言で解説するなら文字通り「信じて託す」ことです。
信託と聞くとすぐに思い浮かぶ「投資信託」のように、不特定多数を相手にした営利目的の信託は「商事信託」に分類されます。
それ以外を「民事信託」といい、その中でも特に家族に託す信託が、ご質問のあった「家族信託」です。
この信託の登場人物は3者です。
まず、「委託者」という財産を預ける人。
つぎに、「受託者」という財産を預かり管理・処分する人。
そして、「受益者」という信託された財産から利益を得る人の3者です。
賃貸オーナーの、実際の「家族信託」の活用例をみてみましょう。
アパートの所有者であるAさん(委託者)は、将来、認知症などにかかり正常な判断ができなくなる事態を想定して、長男Cさん(受託者)にアパートを預けて管理や運営をしてもらいます。
そして受益者をAさん本人とすれば、家賃は引き続きAさんが受け取ることができます。
この場合、アパートの所有権はAさんから長男Cさんに移り、所有権移転登記もされますが、長男Cさんは実質的な所有者ではないので、贈与にはあたらず税金も発生しません。
その後、Aさんが認知症になったり、意思表示ができない事態が生じた場合でも、アパートの管理や運営については、長男Cさんがすべて処理解決することができます。
また、不測の事態が生じてAさんに何らかの費用が必要となったときでも、信託契約の中で定めることによって、長男Cさんがアパートを売却して、Aさんのための資金に変えることも可能です。
そしてもうひとつの利点として、Aさんは長男Cさんに贈与や売買などの税金がかからない方法で、アパート経営のノウハウを長男に教え、経験させておくことができます。
この例のように、信託で登場する3者のうち「委託者」と「受益者」が同一人物となるような信託を「自益信託」といいます。
この認知症などにかかることを想定した手段に「成年後見制度」がありますが、この制度は家庭裁判所に報告し続ける等の監督を受けながら、Aさんのために財産管理を行うのが原則となるので、投資などの運用、財産の処分、相続税対策のための生前贈与などの節税対策は原則的にできません。
信託なら、契約内容によっては、これらの財産運用を長男Cさんに柔軟に行ってもらうことが可能となります。
そして、このあとAさん亡くなったときは、Aさんの遺言で受益者を妻Bさんに指定することで、家賃収入を妻Bさんに確保してあげることが可能です。
これは「遺言代用信託」といいます。
遺言という名称はつきますが、遺言ではなく、あくまで「信託契約」による財産管理です。
信託契約に「遺言」の機能を代用させるという意味でこの名称がついています。
もちろんこれはAさんから妻Bさんへの相続にあたりますので、税金の対象となります。
さらに、たとえばAさんに障害を持つ次男Dさんがいるときに、妻Bさんが亡くなった後の受益者を次男Dさんに指定することも可能です。
これによって両親が亡くなった後も、長男Cさんの財産運用によって次男Dさんに収入を確保してあげることが、Aさんの意思によって実行することができます。
このような自分が亡くなった二代先の相続まで指定することは「遺言」ではできません。
さて、前回の生前贈与では「名義預金」が問題になりました。
贈与税が非課税となる年間110万円未満を、毎年、子や孫に贈与するときに、その子や孫に預金の管理をさせないと名義預金と見なされてしまい、生前贈与の効果がなくなるというお話です。
でも、子や孫に預金を管理させると浪費してしまう可能性もあるので心配も残ります。
この問題も、家族信託を活用することで解決できます。
親Aさんが孫Eさんに贈与するとき、委託者と受託者を共にAさんとして信託契約を締結します。
これを「自己信託」といいます。
「AさんがAさんに預金を信託する」という構図になりますが、その信託から利益を得る受益者を孫Eさんとするのです。
通常は受益者に信託内容を通知しなければなりませんが、信託契約の特約で別段の定めをすれば知らせないことも可能なのです。
この方法によって、孫に告げないで贈与することが可能となります。
もちろん家族信託は万能ではありません。
成年後見制度や遺言でしか出来ないことがあります。
信頼出来る受託者を見極める必要があり、土地・建物等の財産を委託するときは受託者へ登記・登録が必要です。
受託者の負担も考慮しなければなりません。
基本的には節税対策にもなりません。
活用するときは、メリットとデメリットを考慮した上で、専門家に相談してお決めになってください。
A.「信託」を一言で解説するなら文字通り「信じて託す」ことです。
信託と聞くとすぐに思い浮かぶ「投資信託」のように、不特定多数を相手にした営利目的の信託は「商事信託」に分類されます。
それ以外を「民事信託」といい、その中でも特に家族に託す信託が、ご質問のあった「家族信託」です。
この信託の登場人物は3者です。
まず、「委託者」という財産を預ける人。
つぎに、「受託者」という財産を預かり管理・処分する人。
そして、「受益者」という信託された財産から利益を得る人の3者です。
賃貸オーナーの、実際の「家族信託」の活用例をみてみましょう。
アパートの所有者であるAさん(委託者)は、将来、認知症などにかかり正常な判断ができなくなる事態を想定して、長男Cさん(受託者)にアパートを預けて管理や運営をしてもらいます。
そして受益者をAさん本人とすれば、家賃は引き続きAさんが受け取ることができます。
この場合、アパートの所有権はAさんから長男Cさんに移り、所有権移転登記もされますが、長男Cさんは実質的な所有者ではないので、贈与にはあたらず税金も発生しません。
その後、Aさんが認知症になったり、意思表示ができない事態が生じた場合でも、アパートの管理や運営については、長男Cさんがすべて処理解決することができます。
また、不測の事態が生じてAさんに何らかの費用が必要となったときでも、信託契約の中で定めることによって、長男Cさんがアパートを売却して、Aさんのための資金に変えることも可能です。
そしてもうひとつの利点として、Aさんは長男Cさんに贈与や売買などの税金がかからない方法で、アパート経営のノウハウを長男に教え、経験させておくことができます。
この例のように、信託で登場する3者のうち「委託者」と「受益者」が同一人物となるような信託を「自益信託」といいます。
この認知症などにかかることを想定した手段に「成年後見制度」がありますが、この制度は家庭裁判所に報告し続ける等の監督を受けながら、Aさんのために財産管理を行うのが原則となるので、投資などの運用、財産の処分、相続税対策のための生前贈与などの節税対策は原則的にできません。
信託なら、契約内容によっては、これらの財産運用を長男Cさんに柔軟に行ってもらうことが可能となります。
そして、このあとAさん亡くなったときは、Aさんの遺言で受益者を妻Bさんに指定することで、家賃収入を妻Bさんに確保してあげることが可能です。
これは「遺言代用信託」といいます。
遺言という名称はつきますが、遺言ではなく、あくまで「信託契約」による財産管理です。
信託契約に「遺言」の機能を代用させるという意味でこの名称がついています。
もちろんこれはAさんから妻Bさんへの相続にあたりますので、税金の対象となります。
さらに、たとえばAさんに障害を持つ次男Dさんがいるときに、妻Bさんが亡くなった後の受益者を次男Dさんに指定することも可能です。
これによって両親が亡くなった後も、長男Cさんの財産運用によって次男Dさんに収入を確保してあげることが、Aさんの意思によって実行することができます。
このような自分が亡くなった二代先の相続まで指定することは「遺言」ではできません。
さて、前回の生前贈与では「名義預金」が問題になりました。
贈与税が非課税となる年間110万円未満を、毎年、子や孫に贈与するときに、その子や孫に預金の管理をさせないと名義預金と見なされてしまい、生前贈与の効果がなくなるというお話です。
でも、子や孫に預金を管理させると浪費してしまう可能性もあるので心配も残ります。
この問題も、家族信託を活用することで解決できます。
親Aさんが孫Eさんに贈与するとき、委託者と受託者を共にAさんとして信託契約を締結します。
これを「自己信託」といいます。
「AさんがAさんに預金を信託する」という構図になりますが、その信託から利益を得る受益者を孫Eさんとするのです。
通常は受益者に信託内容を通知しなければなりませんが、信託契約の特約で別段の定めをすれば知らせないことも可能なのです。
この方法によって、孫に告げないで贈与することが可能となります。
もちろん家族信託は万能ではありません。
成年後見制度や遺言でしか出来ないことがあります。
信頼出来る受託者を見極める必要があり、土地・建物等の財産を委託するときは受託者へ登記・登録が必要です。
受託者の負担も考慮しなければなりません。
基本的には節税対策にもなりません。
活用するときは、メリットとデメリットを考慮した上で、専門家に相談してお決めになってください。
繁忙期のうちに、オーナーと管理会社が協力して、空室と退去予定の部屋を満室にしなければなりません。
基本的な空室対策を、お復習い(さらい)しておきましょう。
まず物件には競争力が必要です。
と言ってもライバルに「圧倒的な差」をつけると費用対効果が合わなくなりますので、「ちょっとした特徴を持たせる」という程度でよいのです。
繁忙期とは、例えば100戸の1Kが募集中のところに70~80人のお客様が部屋を探しに来て、結果として20~30戸の空室が残るという期間です。
通常よりも「出入り」が多いだけで、繁忙期だから全ての空室が埋まるのではありません。
ここで選ばれる「何か」を持たないと空室として残されてしまうでしょう。
その「何か」とは、立地や、外観や、設備や、間取りなど、物件によって異なります。
ある物件は、玄関を入った時にパッと目につくクロスを貼って、姿見用の鏡を設置するだけで「ちょっとした差」を演出しています。
キッチンやユニットバスにカラーシートを貼るだけでも「ちょっとの違い」を感じていただけます。
お客様に「ワァー」と言ってもらえる「何か」が大事なのです。
費用をかけないなら家賃を相場より5%下げるとか、フリーレント等のサービスも「何か」のひとつです。
これが競争力になります。
そして、多くの中から部屋を見ていただいたお客様に、アピールできる用意が必要です。
たとえばオーナーからの、「内見していただいて有り難うございます」という感謝のメッセージを掲示しておくことで、オーナーの気持ちを伝えることができます。
不快な空気が充満した部屋には空気の入れ換えが必要です。
もし、物件の近くにお住まいでしたら、天気の良い日には窓を開放して空気の入れ替えをしてください。
管理会社に任せていると思いますが、オーナーほどは頻繁には来られないでしょう。
ご自身がやることによって、募集中の部屋に細かな気遣いが生まれます。
それが、部屋を見に来たお客様に伝わります。
お客様が部屋を見たときに、何もない殺風景な部屋より生活感の感じられる部屋の方が良いに決まっています。
そこで、玄関マットや照明器具やカーテンなどを取り付けるようにしましょう。
気に入ったなら、そのままお客様に使ってもらうことが出来ますし、それが部屋を決める「きっかけ」となることもあるのです。
「他の部屋に差を付ける」と言っても、予算の都合で「少しの差」しか演出できていないとしたら,最後は「見せ方」が勝負になります。
そして100戸の空室に対して70~80人のお客様しかいないとしたら、アピールできることは何でもする必要があります。
すでに繁忙期の真っ最中ですので、基本的な空室対策を実施されて、ぜひ良い結果を残していただきたいと思います。
基本的な空室対策を、お復習い(さらい)しておきましょう。
まず物件には競争力が必要です。
と言ってもライバルに「圧倒的な差」をつけると費用対効果が合わなくなりますので、「ちょっとした特徴を持たせる」という程度でよいのです。
繁忙期とは、例えば100戸の1Kが募集中のところに70~80人のお客様が部屋を探しに来て、結果として20~30戸の空室が残るという期間です。
通常よりも「出入り」が多いだけで、繁忙期だから全ての空室が埋まるのではありません。
ここで選ばれる「何か」を持たないと空室として残されてしまうでしょう。
その「何か」とは、立地や、外観や、設備や、間取りなど、物件によって異なります。
ある物件は、玄関を入った時にパッと目につくクロスを貼って、姿見用の鏡を設置するだけで「ちょっとした差」を演出しています。
キッチンやユニットバスにカラーシートを貼るだけでも「ちょっとの違い」を感じていただけます。
お客様に「ワァー」と言ってもらえる「何か」が大事なのです。
費用をかけないなら家賃を相場より5%下げるとか、フリーレント等のサービスも「何か」のひとつです。
これが競争力になります。
そして、多くの中から部屋を見ていただいたお客様に、アピールできる用意が必要です。
たとえばオーナーからの、「内見していただいて有り難うございます」という感謝のメッセージを掲示しておくことで、オーナーの気持ちを伝えることができます。
不快な空気が充満した部屋には空気の入れ換えが必要です。
もし、物件の近くにお住まいでしたら、天気の良い日には窓を開放して空気の入れ替えをしてください。
管理会社に任せていると思いますが、オーナーほどは頻繁には来られないでしょう。
ご自身がやることによって、募集中の部屋に細かな気遣いが生まれます。
それが、部屋を見に来たお客様に伝わります。
お客様が部屋を見たときに、何もない殺風景な部屋より生活感の感じられる部屋の方が良いに決まっています。
そこで、玄関マットや照明器具やカーテンなどを取り付けるようにしましょう。
気に入ったなら、そのままお客様に使ってもらうことが出来ますし、それが部屋を決める「きっかけ」となることもあるのです。
「他の部屋に差を付ける」と言っても、予算の都合で「少しの差」しか演出できていないとしたら,最後は「見せ方」が勝負になります。
そして100戸の空室に対して70~80人のお客様しかいないとしたら、アピールできることは何でもする必要があります。
すでに繁忙期の真っ最中ですので、基本的な空室対策を実施されて、ぜひ良い結果を残していただきたいと思います。
今回は定期借家契約についてです。
敬遠されがちな定期借家契約の利点を座談形式で見ていきましょう。
司会 今回は、成立して15年が経過した定期借家について話をしてください。
ご所有の物件で、定期借家を採用されている方はいますか?
B 僕は基本的に定借です。
司会 5人の中でBさんだけなのですね。
T Bさんは、全部の部屋を定借で募集されているのですか?
B 基本は全部ですが、大手の法人はダメなところもあるので臨機応変にしています。
M なぜ、定期借家なのですか?
B こちらが聞きたいです(笑)。
皆さんはなぜ、定期借家でなく普通借家なのですか?
Y 特に、普通借家で困っていることはないですからね・・・。
G 定借は家賃が下がるといいますし、不動産会社も敬遠します。
T 僕は、なかなか空室が埋まらない、という恐怖がありますね。
M 僕も家賃の高いテナント物件か、自宅の転勤貸ししか使い道がないと思っていました。
本当のところはどうなんですか?
B 僕は以前に、普通借家で貸して困ったことがあり、それから定期借家に変えました。
契約を守らない不良入居者を、なかなか追い出すことができなくて、本当に苦労しました。
M 確かに、借家権は強い権利ですから、追い出すのは大変です。
Y 定借なら契約を守らない借主を追い出す事ができるのですか?
B ええ、再契約に応じなければいいですから、難しくありません。
M どういうことですか?
B 定借には「終了型」と「再契約型」とあります。
僕は再契約型で2年ごとに再契約をするのですが、著しく契約を守らない人の場合は再契約を拒否します。
G 拒否できるのですか?
B できますよ。
そういう約束で契約していますから。
G よく、定借は家賃が下がると聞きますが、それは間違った情報ですか?
B 間違いではないと思います。
「終了型」という、たとえば転勤で2年しか貸せないような条件のときは、相場通りの家賃では借り手が現れないでしょうから、当然に下がりますよね。
でも再契約型なら、いつまでも住めるのですから、家賃を下げることはないです。
G 本当に下がらないですか?
B 下がらないです。
ただし、不動産会社さんの説得が必要です。
なかには、定借なら紹介しないとか、定借なら家賃を下げないとダメとか、入居者から嫌われるとか、いろいろなことを言う方がいますね。
まるで抵抗勢力です(笑)。
Y やはり入居者さんは定借を嫌うのでしょうか。
B そんなことはありません。
まず定借とか普通借家とかを知らないです。
初めて聞く人がほとんどなので、正しく説明すれば入居者の方は問題ないです。
T どのように説明するのです?
B お引っ越しをされて生活を始めてみないと、物件の状況は分からないですよね、と。
隣に契約を守らない借主がいるかもしれませんが、この物件は、契約を守らない借主とは再契約をしないので、契約を守る人にとっては、住み心地のよい物件になるのです、と説明しています。
T なるほど、説得力がありますね。
だけど、部屋が埋まらないのでは?
という心配がどうしてもあるんですよね。
B その心配はもっともですね。
原因は、お客様を紹介してくれる不動産会社の対応です。
定借なら紹介しない、とか、紹介しないとは言わないまでも、積極的ではない不動産会社は多いですね。
Y そんなとき、どうしているのですか?
B 部屋が空くたびに図面を持って、「定借は優良な借主に好まれる貸し方」ということを説明します。
そして、不動産会社が紹介したくなるような、魅力のある部屋にします。
時間はかかりますが、コツコツと説明を続けています。
G そこまでするほど、定借が良い貸し方なのでしょうか?
B 大家にとっては、契約を守らない借主を退去させられる、というのが大きいですね。
静かに暮らす借主さんを守ることができますから。
立退きのときに立退き料がいらないのもメリットです。
あと、家賃の改定がしやすいこと、でしょうか。
G 家賃の改定がしやすいとは?
B 定借は更新でなく、その都度、新しい契約を締結するので、普通借家よりは交渉がしやすいのです。
司会 定借のデメリットは?
B 理解のない不動産会社さんには、説得が必要ということですね。
借主さんにも説明して、理解してもらう必要があります。
事前説明書という書類が増えたり、解約の通知をしなければならないルールがあるので、不動産会社さんが面倒がります(笑)。
司会 他の方はどう思われましたか?
T 契約を守らない借主を退去させられる、というのに魅力を感じました。
真剣に前向きに検討してみようと思いました。
Y 僕も考えてみます。
司会 ありがとうございました。
敬遠されがちな定期借家契約の利点を座談形式で見ていきましょう。
司会 今回は、成立して15年が経過した定期借家について話をしてください。
ご所有の物件で、定期借家を採用されている方はいますか?
B 僕は基本的に定借です。
司会 5人の中でBさんだけなのですね。
T Bさんは、全部の部屋を定借で募集されているのですか?
B 基本は全部ですが、大手の法人はダメなところもあるので臨機応変にしています。
M なぜ、定期借家なのですか?
B こちらが聞きたいです(笑)。
皆さんはなぜ、定期借家でなく普通借家なのですか?
Y 特に、普通借家で困っていることはないですからね・・・。
G 定借は家賃が下がるといいますし、不動産会社も敬遠します。
T 僕は、なかなか空室が埋まらない、という恐怖がありますね。
M 僕も家賃の高いテナント物件か、自宅の転勤貸ししか使い道がないと思っていました。
本当のところはどうなんですか?
B 僕は以前に、普通借家で貸して困ったことがあり、それから定期借家に変えました。
契約を守らない不良入居者を、なかなか追い出すことができなくて、本当に苦労しました。
M 確かに、借家権は強い権利ですから、追い出すのは大変です。
Y 定借なら契約を守らない借主を追い出す事ができるのですか?
B ええ、再契約に応じなければいいですから、難しくありません。
M どういうことですか?
B 定借には「終了型」と「再契約型」とあります。
僕は再契約型で2年ごとに再契約をするのですが、著しく契約を守らない人の場合は再契約を拒否します。
G 拒否できるのですか?
B できますよ。
そういう約束で契約していますから。
G よく、定借は家賃が下がると聞きますが、それは間違った情報ですか?
B 間違いではないと思います。
「終了型」という、たとえば転勤で2年しか貸せないような条件のときは、相場通りの家賃では借り手が現れないでしょうから、当然に下がりますよね。
でも再契約型なら、いつまでも住めるのですから、家賃を下げることはないです。
G 本当に下がらないですか?
B 下がらないです。
ただし、不動産会社さんの説得が必要です。
なかには、定借なら紹介しないとか、定借なら家賃を下げないとダメとか、入居者から嫌われるとか、いろいろなことを言う方がいますね。
まるで抵抗勢力です(笑)。
Y やはり入居者さんは定借を嫌うのでしょうか。
B そんなことはありません。
まず定借とか普通借家とかを知らないです。
初めて聞く人がほとんどなので、正しく説明すれば入居者の方は問題ないです。
T どのように説明するのです?
B お引っ越しをされて生活を始めてみないと、物件の状況は分からないですよね、と。
隣に契約を守らない借主がいるかもしれませんが、この物件は、契約を守らない借主とは再契約をしないので、契約を守る人にとっては、住み心地のよい物件になるのです、と説明しています。
T なるほど、説得力がありますね。
だけど、部屋が埋まらないのでは?
という心配がどうしてもあるんですよね。
B その心配はもっともですね。
原因は、お客様を紹介してくれる不動産会社の対応です。
定借なら紹介しない、とか、紹介しないとは言わないまでも、積極的ではない不動産会社は多いですね。
Y そんなとき、どうしているのですか?
B 部屋が空くたびに図面を持って、「定借は優良な借主に好まれる貸し方」ということを説明します。
そして、不動産会社が紹介したくなるような、魅力のある部屋にします。
時間はかかりますが、コツコツと説明を続けています。
G そこまでするほど、定借が良い貸し方なのでしょうか?
B 大家にとっては、契約を守らない借主を退去させられる、というのが大きいですね。
静かに暮らす借主さんを守ることができますから。
立退きのときに立退き料がいらないのもメリットです。
あと、家賃の改定がしやすいこと、でしょうか。
G 家賃の改定がしやすいとは?
B 定借は更新でなく、その都度、新しい契約を締結するので、普通借家よりは交渉がしやすいのです。
司会 定借のデメリットは?
B 理解のない不動産会社さんには、説得が必要ということですね。
借主さんにも説明して、理解してもらう必要があります。
事前説明書という書類が増えたり、解約の通知をしなければならないルールがあるので、不動産会社さんが面倒がります(笑)。
司会 他の方はどう思われましたか?
T 契約を守らない借主を退去させられる、というのに魅力を感じました。
真剣に前向きに検討してみようと思いました。
Y 僕も考えてみます。
司会 ありがとうございました。
大家さんのために戦う弁護士さんの本。
敷金問題や家賃滞納や修繕費用負担など、入居者との金銭トラブルにどう対処すればよいか、賃貸経営するには、知っておきたい知識が満載です。
まず最初の「序章」は、敷金返還問題の背景と対処法です。
「貸主には敷金全額の返還義務がある」という考えは間違っていて、借主が払うべきお金が残っていたら、敷金から差し引けること。
そして、敷金から何を差し引くかは「契約書の記載内容で決められる」という事実を抑えましょう。
だから大家さんは、入居者のムチャな要求は、はっきり断りなさい!という主張に勇気づけられます。
その上で、法律を知り理論武装することと、賃貸借契約書をしっかりと見直すことを勧めています。
「第1章」は、敷金返還問題を減らすための具体的な方法です。
大家さんが敷金から差し引けるお金は、つぎの2つ。
①法律上当然に差し引いていいお金。
借主のミスで壊れたり汚れたりした部分です。
②契約書に特約があれば差し引いていいお金。
借主が普通に使ったり、時間の経過で自然に古くなったり壊れたり汚れたりした部分です。
改正される民法の規定では大家さんの負担となっていますが、契約書に明記しておけば、敷金から差し引いて構いません。
それは最高裁でも認められています。
「第2章」は、更新料や立退料など敷金以外のお金のトラブルです。
合意更新の地域では、更新料は自信をもって請求することと、立退料の相場や、立退料を安くする方法について解説しています。
「第3章」は、入居者の理不尽なクレームへの対処法です。
大家さんの「修繕義務」とは何か?これについて正しい認識を持つこと。
大家さんに修繕義務があるかどうかは、3つの基準で判断します。
1.破損した部分は大家さんが提供すべき設備か。
2.破損した原因は何か。
3.破損によって部屋の使用に支障が生じているか。
この基準によって判定して、修繕義務がなければ、キッパリ断ってもOKです。
その他にも、入居者の自殺や、火事で全焼したときや、行方不明者との契約解除などの事例から、それぞれの対処法を解説しています。
「第4章」は、家賃滞納の予防方法と家賃回収術です。
督促は、滞納が起きたら素早く動くこと。
本人に督促して、連帯保証人に連絡し、内容証明で催告する。
そして未払いが2ヶ月分になったら解除通告をして、3ヶ月分になったら裁判を開始するくらいのスピード感が必要。
特に法的手続きとして「少額訴訟」を紹介しています。
「第5章」は、契約書作成のポイントです。
大家さんに有利な契約書の書き方を実例で紹介しています。
大家さんも法律を知って理論武装して、「主張すべきことは主張しよう」と謳っています。
Q.相続税対策の中に「贈与」という手段があることは知っていましたが、どのような方法で、なぜ有効なのか、詳しく教えてください。
A.贈与とは、祖父母や両親などが、自分の財産を無償で子や孫などに与える意思表示をして、それを相手が受諾することによって成立する契約です。
親などが贈与をして相続財産を減らし、子供などの相続人が負担する相続税を減らすことができます。
ただし、その際は贈与税が発生し、その税金は贈与を受けた側、つまり子や孫が払うことになります。
たしかに相続税は減るのですが、一方で贈与税が発生しますので、合算で税負担が減るようにバランスを取ることが大切です。
贈与税は、1年につき110万円までは非課税となりますので、この制度を利用する方法が一番活用されています。
親が子に、毎年110万円ずつ贈与を続ければ、10年で1100万円の現金を、税金がかからずに、子に移転することができます。
ただし、子供に小遣いとして渡すのではないので、浪費されないように、通帳や印鑑を親が保管することがよくあります。
この場合は、親は贈与した「つもり」でも、法的には贈与が成立していないことがあるので注意が必要です。
たとえば、親が子のために毎年110万円ずつを、子名義の定期預金に積み立てて、10年後に他界したとします。
印鑑も通帳も親が管理していました。
この1100万円の定期預金は親の預金と見なされて、親の相続財産として、相続税が課税されることになってしまうのです。
この預金のことを「名義預金」といって、親が子の名義を借りているだけ、と判断されるのです。
「あげる」側と「もらう」側の両方が、その意思を示していることが条件となるのです。
この贈与を完全にするには、まず「贈与契約書」を作成して、お互いの意思を明確に示すこと。
そして、振込などの事実を通帳に残すことです。
さらに、通帳や印鑑やキャッシュカードの管理は、贈与を受けた人が行い、定期預金の書き換えなども、贈与を受けた人が行う必要があります。
筆跡までも調べられることがあるからです。
もらう側が、受け取る意思を「示している」ことを要件と説明しましたが、幼い子供や0歳の赤ちゃんの場合はどうなのでしょうか。
この場合でも、贈与契約書にその旨を書いて、親権者を立てて、成人するまで通帳や印鑑を管理することで、「贈与は成立する」と解釈されています。
ただし、相続が起こったときは、その3年以内に行われた贈与については、贈与した財産も、一度相続財産に戻して計算しなければなりません。
もちろん、すでに支払った贈与税があれば、相続税として支払うべき税金から差し引くことができます。
Q.では、現金の贈与は年間110万円以下とした方がいいのでしょうか?
A.そうとは限りません。
相続税対策のための贈与でしたら、たとえ贈与税を負担しても、その額が予定される相続税より少ないなら、節税効果が見込めます。
たとえば、親から20歳以上の子への贈与などの場合は、年間で600万円までは、「実際の税率」は12%前後になりますので、大きな負担でもありません。
大切なことは、贈与税と相続税、それぞれの税率を計算して、比較してみることです。
もうひとつ、特筆すべき制度として、2500万円まで贈与税がかからない「相続時精算課税」の贈与があります。
この「相続時精算課税」とは、祖父母または両親が、子供や孫へ贈与する制度です。
祖父母または両親が、贈与した年の1月1日時点で60歳以上であり、子や孫が同じく1月1日時点で20歳以上であることが要件となります。
特別控除額2500万円までに達するまでは、年をまたいで贈与しても、贈与税はかかりません。
2500万円を超えた分に対しては20%の贈与税がかかりますが、通常の贈与よりも税率は格段と下がります。
この贈与税は永久に払わなくてよいのか、というと、そうではありません。
この制度を使った贈与は、贈与者が死亡した時の相続税の計算対象となり、この時点で支払った贈与税と相続税を比較することになります。
支払った贈与税が相続税より多ければ還付、足らなければ、その差額を納付することになります。
「では、意味が無いではないか」と思うかもしれませんが、生前に多額の資産を移転できれば、その資産が資産を生むことで、もっと多くの価値を移転することができます。
その資金は、相続税を支払う原資として、準備することもできるのです。
この制度を使って最も得をするケースは、値上がりする財産を贈与する場合です。
なぜならば、相続税は贈与時の価格で固定されて計算されるからです。
贈与時の価格が1000万円で、相続時に1200万円に上がっていても、1000万円で相続税を計算すればよいのです。
Q.よく分かりました。それ以外に贈与による方法はありますか?
A.婚姻期間が20年を過ぎた配偶者に、自宅の土地建物などを贈与するという方法があります。2000万円までは贈与税がかかりません。
この特例を使った贈与は、相続開始3年以内であっても相続税の対象にはなりません。
極端な話をすれば、亡くなる前日でも行うことができる対策です。
別の制度ですが、2014年から、祖父母から孫への教育資金の贈与については、1500万円までが非課税となりました。
利用するには、信託銀行などで受贈者名義の「教育資金口座」を開設し、30歳で口座を精算して、その時点で残高があれば贈与税の対象となる、などの制限があります。
また、祖父母や両親から、住宅取得資金の贈与を受けた場合は一定の金額が非課税になるという「住宅資金贈与」という制度があり、前に説明した「相続時精算課税制度」と組み合わせて使うことも可能です。
ちなみに、以上の3つの「贈与の特例」も、相続開始前3年以内でも相続財産に取り込まれませんので、相続税を払う必要はありませんし、他の相続人に知られずに行うこともできます。
最後に、賃貸物件を生前に贈与する方法です。
たとえば1000万円の現金を贈与すると、額面通りに贈与税がかかりますが、同じ1000万円の価値でも賃貸建物は、低く評価されます。
ご存じの通り、建物は固定資産税評価額で評価されますので、実際の価値の6割程度となります。
さらに、賃貸建物は借家権を考慮して7割評価となるので、実際には400万円程度の財産を贈与したと見なされます。
しかも、贈与された側は、その賃貸建物からの収入を、相続税の納税資金の原資とすることができるのです。
A.贈与とは、祖父母や両親などが、自分の財産を無償で子や孫などに与える意思表示をして、それを相手が受諾することによって成立する契約です。
親などが贈与をして相続財産を減らし、子供などの相続人が負担する相続税を減らすことができます。
ただし、その際は贈与税が発生し、その税金は贈与を受けた側、つまり子や孫が払うことになります。
たしかに相続税は減るのですが、一方で贈与税が発生しますので、合算で税負担が減るようにバランスを取ることが大切です。
贈与税は、1年につき110万円までは非課税となりますので、この制度を利用する方法が一番活用されています。
親が子に、毎年110万円ずつ贈与を続ければ、10年で1100万円の現金を、税金がかからずに、子に移転することができます。
ただし、子供に小遣いとして渡すのではないので、浪費されないように、通帳や印鑑を親が保管することがよくあります。
この場合は、親は贈与した「つもり」でも、法的には贈与が成立していないことがあるので注意が必要です。
たとえば、親が子のために毎年110万円ずつを、子名義の定期預金に積み立てて、10年後に他界したとします。
印鑑も通帳も親が管理していました。
この1100万円の定期預金は親の預金と見なされて、親の相続財産として、相続税が課税されることになってしまうのです。
この預金のことを「名義預金」といって、親が子の名義を借りているだけ、と判断されるのです。
「あげる」側と「もらう」側の両方が、その意思を示していることが条件となるのです。
この贈与を完全にするには、まず「贈与契約書」を作成して、お互いの意思を明確に示すこと。
そして、振込などの事実を通帳に残すことです。
さらに、通帳や印鑑やキャッシュカードの管理は、贈与を受けた人が行い、定期預金の書き換えなども、贈与を受けた人が行う必要があります。
筆跡までも調べられることがあるからです。
もらう側が、受け取る意思を「示している」ことを要件と説明しましたが、幼い子供や0歳の赤ちゃんの場合はどうなのでしょうか。
この場合でも、贈与契約書にその旨を書いて、親権者を立てて、成人するまで通帳や印鑑を管理することで、「贈与は成立する」と解釈されています。
ただし、相続が起こったときは、その3年以内に行われた贈与については、贈与した財産も、一度相続財産に戻して計算しなければなりません。
もちろん、すでに支払った贈与税があれば、相続税として支払うべき税金から差し引くことができます。
Q.では、現金の贈与は年間110万円以下とした方がいいのでしょうか?
A.そうとは限りません。
相続税対策のための贈与でしたら、たとえ贈与税を負担しても、その額が予定される相続税より少ないなら、節税効果が見込めます。
たとえば、親から20歳以上の子への贈与などの場合は、年間で600万円までは、「実際の税率」は12%前後になりますので、大きな負担でもありません。
大切なことは、贈与税と相続税、それぞれの税率を計算して、比較してみることです。
もうひとつ、特筆すべき制度として、2500万円まで贈与税がかからない「相続時精算課税」の贈与があります。
この「相続時精算課税」とは、祖父母または両親が、子供や孫へ贈与する制度です。
祖父母または両親が、贈与した年の1月1日時点で60歳以上であり、子や孫が同じく1月1日時点で20歳以上であることが要件となります。
特別控除額2500万円までに達するまでは、年をまたいで贈与しても、贈与税はかかりません。
2500万円を超えた分に対しては20%の贈与税がかかりますが、通常の贈与よりも税率は格段と下がります。
この贈与税は永久に払わなくてよいのか、というと、そうではありません。
この制度を使った贈与は、贈与者が死亡した時の相続税の計算対象となり、この時点で支払った贈与税と相続税を比較することになります。
支払った贈与税が相続税より多ければ還付、足らなければ、その差額を納付することになります。
「では、意味が無いではないか」と思うかもしれませんが、生前に多額の資産を移転できれば、その資産が資産を生むことで、もっと多くの価値を移転することができます。
その資金は、相続税を支払う原資として、準備することもできるのです。
この制度を使って最も得をするケースは、値上がりする財産を贈与する場合です。
なぜならば、相続税は贈与時の価格で固定されて計算されるからです。
贈与時の価格が1000万円で、相続時に1200万円に上がっていても、1000万円で相続税を計算すればよいのです。
Q.よく分かりました。それ以外に贈与による方法はありますか?
A.婚姻期間が20年を過ぎた配偶者に、自宅の土地建物などを贈与するという方法があります。2000万円までは贈与税がかかりません。
この特例を使った贈与は、相続開始3年以内であっても相続税の対象にはなりません。
極端な話をすれば、亡くなる前日でも行うことができる対策です。
別の制度ですが、2014年から、祖父母から孫への教育資金の贈与については、1500万円までが非課税となりました。
利用するには、信託銀行などで受贈者名義の「教育資金口座」を開設し、30歳で口座を精算して、その時点で残高があれば贈与税の対象となる、などの制限があります。
また、祖父母や両親から、住宅取得資金の贈与を受けた場合は一定の金額が非課税になるという「住宅資金贈与」という制度があり、前に説明した「相続時精算課税制度」と組み合わせて使うことも可能です。
ちなみに、以上の3つの「贈与の特例」も、相続開始前3年以内でも相続財産に取り込まれませんので、相続税を払う必要はありませんし、他の相続人に知られずに行うこともできます。
最後に、賃貸物件を生前に贈与する方法です。
たとえば1000万円の現金を贈与すると、額面通りに贈与税がかかりますが、同じ1000万円の価値でも賃貸建物は、低く評価されます。
ご存じの通り、建物は固定資産税評価額で評価されますので、実際の価値の6割程度となります。
さらに、賃貸建物は借家権を考慮して7割評価となるので、実際には400万円程度の財産を贈与したと見なされます。
しかも、贈与された側は、その賃貸建物からの収入を、相続税の納税資金の原資とすることができるのです。
民泊ビジネスとは
最近、話題になっている民泊とは、外国人観光客を相手に、個人が住宅の空室やマンションの部屋などに「有料で」泊める行為のことを指します。
その背景には、日本を訪問する外国人観光客が増えていて、宿泊施設が足らない、という事情があります。
もうひとつは、予算面の問題や、ホテルより畳の部屋など「日本の文化を感じたい」という、外国人観光客の希望なども挙げられのでしょう。
一方の供給側にも、高齢化などにより空き室が増えていることと、賃貸物件の空室問題があります。
実は、この民泊行為は旅館業法という法律に触れています。
この法律は、「有料で宿泊させる場合は、フロントの設置や寝室の面積など、必要な施設が一定の基準を満たさなければならない」、と定められているのです。
この法律が一般に認識されていないためか、空き家や賃貸物件の空室を、外国人旅行客に短期貸しする民泊ビジネスが増えていて、東京では逮捕者まで出る事態になっています。
今後は規制緩和の方向へ
これに対して政府は、これからもっと増やしたい外国人観光客の宿泊先として活用したい、という思惑があるので、民泊ビジネスを適正化していく考えのようです。
具体的には、民泊に特化した新しい法律を制定するか、現在の旅行業法を改正して、営業種別に「民泊営業」というものを追加する案などが取りざたされています。
もちろん、現状の違法事例は取り締まりつつ、ということなので、いま無許可で行うと、見つかれば指導されて、従わなければ処罰されることになります。
民泊ビジネスを適正化するルール策定は、2016年の秋頃までとも言われています。
国家戦略特区として、旅館業法の適用が除外される地域を指定していますが、東京都大田区と大阪府が名乗りをあげていて、2016年から全国に先駆けて解禁される予定です。
その場合でも、立ち入り調査を実施し、滞在者名簿を義務化し、滞在者のパスポートを確認させ、6泊7日以上の長期滞在を条件とする、などの制約を設けています。
Airbnb(エアービーアンドビー)
では外国人は日本を訪れる前に、どのようにして日本国内の個人の空室を知るのかというと、それを仲介する事業者がいて、インターネット上で簡単に探せるサイトを運営しています。
貸したい個人が自分の部屋を、無料で簡単に登録することができ、その情報を全世界の人が見ることが可能なのです。
その事業者の代表格は、Airbnb(エアービーアンドビー)と言って、2014年5月に日本にも進出しました。
すでに日本国内で2万1千件もの「貸したい情報」が登録されているそうです。
たとえば5万円の貸室でも、1日3000円~4000円で貸し出すと、稼働率が半分でも4万5千円から6万円の収入になります。
7割の稼働なら8万を超す収入になるので、ただの空室対策というより、積極的に収入アップを狙っているのです。
オーナーとしてどうするか?
さて、賃貸経営のオーナーとして、このニュースを、どのように捉えればよいのでしょうか。
もし、規制の緩和を待って、空室を外国人観光客に短期貸しした場合、まず問題として考えられるのは、衛生面や宿泊者の安全確保です。
犯罪が起きないか、という観点での懸念もありますし、近隣トラブルの増加が予想されます。
実際に報告されている事例には、部屋に調理の臭いがついてしまい、多額のリフォーム費用がかかってしまったとか、室内でスーツケースを引きずったために、フローリングがボロボロになったとか、室内でパーティーのように騒がれたり、という事態も起こっているようです。
最悪なのは、優良入居者が退去してしまうことでしょう。
もし、民泊を活用するなら、大阪府の条例のように、滞在者のパスポートを確認して、一定期間以上の滞在しか受け付けない、等の取り決めを、最低でも実施する必要があります。
そんなことより、「民泊なんかに貸さない!」というオーナーさんも多いと思われますが、もうひとつ、注意をしなければならないことがあります。
それは、賃貸物件の「不正使用」です。
不正使用を許さない!
自分が住まないのに貸室を借りて、それを外国人旅行者に転貸して、そこで収益をあげる人たちがいるのです。
オーナーとの賃貸借契約に違反して、さらに旅行業法などにも触れる「ダブル違反行為」です。
もし、その行為にオーナーが同意していたとしても、旅行業法違反は事実ですし、優良入居者が退去してしまうなど、それによって被害を受けるのはオーナーです。
その人たちは、たとえば5万円で借りた部屋を貸し出して、その差益を得ようというのです。
すでにインターネットでは、「それによって500万円の収益を、毎月稼いでいる」と豪語している人も登場しています。
「自分も楽に稼ぎたい」という者が、後から続くのではと危惧されます。
全国で頻発しているほどの事態ではないにしても、そのような輩(やから)は、これから、さらに増えていくでしょう。
旅行業法や関連法のルール整備によって民泊ビジネスが合法化されれば、さらに増えることが予想されます。
入居する理由をしっかり確認して、入居審査の徹底など、水際での防御に気を付けなければなりません。
積極的に活用するには
さて、この民泊を、空室対策として積極的に「活用しよう」という考えもあります。
もちろん、民泊が合法化されていることが前提です。
たしかに、ホテルや旅館以外の宿泊先を望む旅行者が増え、一方で空き家や空室が問題になっていて、両方を簡単に結びつける方法が存在するのですから、旅行者に民泊させるのは、双方の問題を解決する「策」ではあります。
もし観光地が近く、需要が望めるような条件なら、「一棟丸ごと民泊物件」として活用することは可能でしょう。
大学が移転してガラ空きになった物件とか、社宅で貸していた建物が解約で戻ってきた物件とか、あるいは一戸建て貸家などは、この民泊は活用できるのではないでしょうか。
ただし、ファミリーやカップル世帯向けの、一般の入居者さんが住んでいる物件で、外国人の民泊を併用することは、お勧めできません。
さて、「外国人旅行客のことなど自分には関係ない」と思われるかもしれませんが、賃貸経営のオーナーとして、この「民泊の推進」という事態が日本で進んでいることは、知っておいていただきたいと思います。
最近、話題になっている民泊とは、外国人観光客を相手に、個人が住宅の空室やマンションの部屋などに「有料で」泊める行為のことを指します。
その背景には、日本を訪問する外国人観光客が増えていて、宿泊施設が足らない、という事情があります。
もうひとつは、予算面の問題や、ホテルより畳の部屋など「日本の文化を感じたい」という、外国人観光客の希望なども挙げられのでしょう。
一方の供給側にも、高齢化などにより空き室が増えていることと、賃貸物件の空室問題があります。
実は、この民泊行為は旅館業法という法律に触れています。
この法律は、「有料で宿泊させる場合は、フロントの設置や寝室の面積など、必要な施設が一定の基準を満たさなければならない」、と定められているのです。
この法律が一般に認識されていないためか、空き家や賃貸物件の空室を、外国人旅行客に短期貸しする民泊ビジネスが増えていて、東京では逮捕者まで出る事態になっています。
今後は規制緩和の方向へ
これに対して政府は、これからもっと増やしたい外国人観光客の宿泊先として活用したい、という思惑があるので、民泊ビジネスを適正化していく考えのようです。
具体的には、民泊に特化した新しい法律を制定するか、現在の旅行業法を改正して、営業種別に「民泊営業」というものを追加する案などが取りざたされています。
もちろん、現状の違法事例は取り締まりつつ、ということなので、いま無許可で行うと、見つかれば指導されて、従わなければ処罰されることになります。
民泊ビジネスを適正化するルール策定は、2016年の秋頃までとも言われています。
国家戦略特区として、旅館業法の適用が除外される地域を指定していますが、東京都大田区と大阪府が名乗りをあげていて、2016年から全国に先駆けて解禁される予定です。
その場合でも、立ち入り調査を実施し、滞在者名簿を義務化し、滞在者のパスポートを確認させ、6泊7日以上の長期滞在を条件とする、などの制約を設けています。
Airbnb(エアービーアンドビー)
では外国人は日本を訪れる前に、どのようにして日本国内の個人の空室を知るのかというと、それを仲介する事業者がいて、インターネット上で簡単に探せるサイトを運営しています。
貸したい個人が自分の部屋を、無料で簡単に登録することができ、その情報を全世界の人が見ることが可能なのです。
その事業者の代表格は、Airbnb(エアービーアンドビー)と言って、2014年5月に日本にも進出しました。
すでに日本国内で2万1千件もの「貸したい情報」が登録されているそうです。
たとえば5万円の貸室でも、1日3000円~4000円で貸し出すと、稼働率が半分でも4万5千円から6万円の収入になります。
7割の稼働なら8万を超す収入になるので、ただの空室対策というより、積極的に収入アップを狙っているのです。
オーナーとしてどうするか?
さて、賃貸経営のオーナーとして、このニュースを、どのように捉えればよいのでしょうか。
もし、規制の緩和を待って、空室を外国人観光客に短期貸しした場合、まず問題として考えられるのは、衛生面や宿泊者の安全確保です。
犯罪が起きないか、という観点での懸念もありますし、近隣トラブルの増加が予想されます。
実際に報告されている事例には、部屋に調理の臭いがついてしまい、多額のリフォーム費用がかかってしまったとか、室内でスーツケースを引きずったために、フローリングがボロボロになったとか、室内でパーティーのように騒がれたり、という事態も起こっているようです。
最悪なのは、優良入居者が退去してしまうことでしょう。
もし、民泊を活用するなら、大阪府の条例のように、滞在者のパスポートを確認して、一定期間以上の滞在しか受け付けない、等の取り決めを、最低でも実施する必要があります。
そんなことより、「民泊なんかに貸さない!」というオーナーさんも多いと思われますが、もうひとつ、注意をしなければならないことがあります。
それは、賃貸物件の「不正使用」です。
不正使用を許さない!
自分が住まないのに貸室を借りて、それを外国人旅行者に転貸して、そこで収益をあげる人たちがいるのです。
オーナーとの賃貸借契約に違反して、さらに旅行業法などにも触れる「ダブル違反行為」です。
もし、その行為にオーナーが同意していたとしても、旅行業法違反は事実ですし、優良入居者が退去してしまうなど、それによって被害を受けるのはオーナーです。
その人たちは、たとえば5万円で借りた部屋を貸し出して、その差益を得ようというのです。
すでにインターネットでは、「それによって500万円の収益を、毎月稼いでいる」と豪語している人も登場しています。
「自分も楽に稼ぎたい」という者が、後から続くのではと危惧されます。
全国で頻発しているほどの事態ではないにしても、そのような輩(やから)は、これから、さらに増えていくでしょう。
旅行業法や関連法のルール整備によって民泊ビジネスが合法化されれば、さらに増えることが予想されます。
入居する理由をしっかり確認して、入居審査の徹底など、水際での防御に気を付けなければなりません。
積極的に活用するには
さて、この民泊を、空室対策として積極的に「活用しよう」という考えもあります。
もちろん、民泊が合法化されていることが前提です。
たしかに、ホテルや旅館以外の宿泊先を望む旅行者が増え、一方で空き家や空室が問題になっていて、両方を簡単に結びつける方法が存在するのですから、旅行者に民泊させるのは、双方の問題を解決する「策」ではあります。
もし観光地が近く、需要が望めるような条件なら、「一棟丸ごと民泊物件」として活用することは可能でしょう。
大学が移転してガラ空きになった物件とか、社宅で貸していた建物が解約で戻ってきた物件とか、あるいは一戸建て貸家などは、この民泊は活用できるのではないでしょうか。
ただし、ファミリーやカップル世帯向けの、一般の入居者さんが住んでいる物件で、外国人の民泊を併用することは、お勧めできません。
さて、「外国人旅行客のことなど自分には関係ない」と思われるかもしれませんが、賃貸経営のオーナーとして、この「民泊の推進」という事態が日本で進んでいることは、知っておいていただきたいと思います。
相続税対策の中で、不良資産を売却して区分所有マンションに買い替える、という方法があります。
マンションは戸建てと比べて、一戸当たりの土地持ち分割合が低いので、相続税評価上は有利な財産と言われます。
さらにタワーマンションの高層階の部屋はもっと有利になります。
なぜなら、マンションの建物部分の評価は1階も最上階も、同じ間取りなら評価も変わらないからです。
しかし購入価格は3倍を超えるケースがあるので、極端な事例ですと、最上階の9000千万円のマンションと1階の3000万円のマンションが、相続税評価上は同じになるのです。
大きな資産の圧縮になると専門書でも紹介されています。
しかし、この節税策に国税庁が「待った」をかけました。
このようなタワーマンションを使った相続税の節税をめぐり、国税庁が行きすぎた節税策がないかチェックを厳しくするよう全国の国税局に指示しました。
「著しく不適当」なケースは個別に評価し直す、という通達の規定があり、全てのタワーマンションの相続について適用するかどうか検討する考えです。
国税庁が2013年までの3年間の事例を調べたところ、価格と評価額に3倍以上の差がある案件が353件もあったそうです。
過去には、相続後すぐに売り抜けて多額の「差益」を得るケースもあり、こうした節税策を薦める金融機関や税理士法人があるといいます。
国税庁の資産評価企画官は「不動産の値上がりで節税効果が大きくなっており、看過できないケースには適切に適用したい」と話しています。
第一不動産では、不動産の仲介や管理の他にも相続の相談・対策も扱っております。
相続にまつわる悩み、トラブルも第一不動産へお任せください。
http://dsouzoku.wpblog.jp/
賃貸業界誌が恒例の「入居者に人気の設備ランキング」を発表しました!
まず「部屋探しの時に必要と考える設備」のランキング。
単身者向けでは、1位に独立洗面台が昨年の2位からアップ。
反対に2位にTV付きインタホンでトップから陥落。
3位は洗浄機能付き便座が根強い人気です。
ファミリー向け物件は、1位は追い焚き機能で不動のトップです。
2位は独立洗面台で、当然の設備ですね。
3位はTV付きインタホンで2位からひとつ落ちています。
つぎに、「これがなければ決まらない設備」のランキングでは、単身男性の1位が洗浄機能付き便座、2位が独立洗面台。
この2つが必須設備とは贅沢になりました。
3位はTV付きインタホンです。
単身女性では、1位はTV付きインタホン、2位に男性と同じく独立洗面台が入っています。
3位はやはりセキュリティ重視でオートロックは欠かせません。
次の設備追加のときのご参考にしてください。
第一サービスでは、物件ごとに、ニーズにあったご提案をさせていただきます!
リフォームの際にはぜひ第一サービスまで!
まず「部屋探しの時に必要と考える設備」のランキング。
単身者向けでは、1位に独立洗面台が昨年の2位からアップ。
反対に2位にTV付きインタホンでトップから陥落。
3位は洗浄機能付き便座が根強い人気です。
ファミリー向け物件は、1位は追い焚き機能で不動のトップです。
2位は独立洗面台で、当然の設備ですね。
3位はTV付きインタホンで2位からひとつ落ちています。
つぎに、「これがなければ決まらない設備」のランキングでは、単身男性の1位が洗浄機能付き便座、2位が独立洗面台。
この2つが必須設備とは贅沢になりました。
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3位はやはりセキュリティ重視でオートロックは欠かせません。
次の設備追加のときのご参考にしてください。
第一サービスでは、物件ごとに、ニーズにあったご提案をさせていただきます!
リフォームの際にはぜひ第一サービスまで!
Q.ペット可で貸していますが、原状回復工事の負担で意見が食い違い、トラブルになってしまいました。
どのような契約にすればよいでしょうか。
A.通常の敷金とは別に「ペット敷金」を預かってはどうでしょう。
たとえば通常の敷金1ヶ月、ペット敷金2ヶ月という具合です。
そして契約書の条項に、「ペット敷金は建物の明け渡し時に全額を償却する」と記載するのです。
さらに、飼育状態が悪く、故意過失で請求する分がペット敷金を超えたときは、「不足分を借主が負担する」という条項も入れる必要があります。
そして、契約書とは別に「ペット飼育規則」を作成して、ペットを飼育する上での細かなルールを定めて、ここにも署名捺印をもらってください。
この「ペット飼育規則」については、契約書の条項にも「別添のペット飼育規則の内容を充分に理解し、これを順守すること」という一文を入れてワンセットにしておきます。
Q.これで裁判になっても大丈夫ですか?
A.裁判は裁判官の心証次第ですから、「大丈夫」という太鼓判を押すことはできません。
この裁判とは消費者契約法による違法性を争う裁判のことだと思いますが、もともと借主は消費者であり、賃貸借契約条項などについて知識が不足していることを理解した上で、それを前提に契約を進めておく必要があります。
そのために「ペット飼育規則」を別に作って署名をいただくのです。
ペット敷金を通常の敷金と別に預かり明け渡し時に全額償却し、なおかつ、足らない場合は追加で徴収するという決まりは、正直なところ消費者にはかなり不利な決め事です。
そのことも借主にきちんと説明してください。
でも、一 般的に禁止されているペット飼育を認めるのですから、原状回復の負担でトラブルになることが予想されるので、それをお互いが避けるために「やむを得ず」定めた敷金特約、という考え方です。
借主がペット飼育を希望しなければ不要な特約ですし、この特約に不満ならペットを飼わない、という選択権も借主にはあります。
そこまで説明した上で署名捺印したのですから、「消費者だから知らなかった」とは言えないと思います。
裁判の結果を心配するよりも、裁判に訴える気持ちを起こさせないことが大切だと思います。
その説明の経緯を「お互いの後日のために」と説明して録音しておくことは、退去後に裁判を起こす抑止効果が高いのでお勧めします。
どのような契約にすればよいでしょうか。
A.通常の敷金とは別に「ペット敷金」を預かってはどうでしょう。
たとえば通常の敷金1ヶ月、ペット敷金2ヶ月という具合です。
そして契約書の条項に、「ペット敷金は建物の明け渡し時に全額を償却する」と記載するのです。
さらに、飼育状態が悪く、故意過失で請求する分がペット敷金を超えたときは、「不足分を借主が負担する」という条項も入れる必要があります。
そして、契約書とは別に「ペット飼育規則」を作成して、ペットを飼育する上での細かなルールを定めて、ここにも署名捺印をもらってください。
この「ペット飼育規則」については、契約書の条項にも「別添のペット飼育規則の内容を充分に理解し、これを順守すること」という一文を入れてワンセットにしておきます。
Q.これで裁判になっても大丈夫ですか?
A.裁判は裁判官の心証次第ですから、「大丈夫」という太鼓判を押すことはできません。
この裁判とは消費者契約法による違法性を争う裁判のことだと思いますが、もともと借主は消費者であり、賃貸借契約条項などについて知識が不足していることを理解した上で、それを前提に契約を進めておく必要があります。
そのために「ペット飼育規則」を別に作って署名をいただくのです。
ペット敷金を通常の敷金と別に預かり明け渡し時に全額償却し、なおかつ、足らない場合は追加で徴収するという決まりは、正直なところ消費者にはかなり不利な決め事です。
そのことも借主にきちんと説明してください。
でも、一 般的に禁止されているペット飼育を認めるのですから、原状回復の負担でトラブルになることが予想されるので、それをお互いが避けるために「やむを得ず」定めた敷金特約、という考え方です。
借主がペット飼育を希望しなければ不要な特約ですし、この特約に不満ならペットを飼わない、という選択権も借主にはあります。
そこまで説明した上で署名捺印したのですから、「消費者だから知らなかった」とは言えないと思います。
裁判の結果を心配するよりも、裁判に訴える気持ちを起こさせないことが大切だと思います。
その説明の経緯を「お互いの後日のために」と説明して録音しておくことは、退去後に裁判を起こす抑止効果が高いのでお勧めします。
借主の退去に伴って必ず行われる「原状回復工事」には、賃貸経営にとって二つの重要な選択肢があります。
1番は「どこまで行うのか」です。
空室対策の観点から、原状回復工事の内容を考える必要があります。
2番は「貸主の出費をどう抑えるか」です。
入退去のたびに、高額の原状回復費用を貸主が負担しなければならない、としたら、賃貸経営は成り立つのでしょうか。
この2点に焦点を当ててみます。
原状回復の目的は、「次の入居募集のために商品価値を整える」ことです。
「価値を整える」ところの「価値」とは、貸主さんが求める「家賃」によって異なります。
「家賃を高く貸したい」ときは価値も高める必要がありますので、それなりの、バリューアップを伴った原状回復工事が必要です。
反対に、相場が下がっているし、新築や築浅のライバル物件が多いので、お金をかけるよりは「値下げをして貸す」ときは、気になる箇所だけの原状回復工事で充分です。
仲介・管理会社が「リフォームをしましょう」とか「家賃を下げましょう」と提案するのは、必ずしもオーナーの都合を考えてのこととは限らないので、貸主としては、自身の考え、自身の都合で「どこまで原状回復工事を行うか」を決めるべきです。
ご自身の考えを伝えた上で、仲介・管理会社にアドバイスを求めてください。
原状回復工事を「気になる箇所だけ」で済ませるか、「バリューアップを伴った内容」で勝負に出るかは、物件の築年数によっても選択がかわります
。
築10年を過ぎると、新築・築浅の強みは消えていますし、設備も、修繕か交換の時期を迎えています。
数年後には大規模修繕の時期が迫っていますから、それに合わせて「バリューアップ工事をする」という考えは合理的です。
また築20年を過ぎると、そのときのお客様のニーズに「まったく」合わなくなっています。
設備も交換しなければならない時期です。
木造なら「建替え時期」も意識しながら、2回目の大規模修繕に合わせてリノベーションするか、費用をかけないで取り壊しまで、家賃の値下げ戦略を基本として経営するか、の選択です。
オーナーの賃貸経営に対する、目的と考え方次第で選択肢が違ってきます。
原状回復工事は、その都度、賃貸経営の先行きを考えた上で、適切な投資をしていただきたいと思います。
さて、どちらにしても、退去の度に費用がかかることは避けられません。
この費用の大部分をオーナーが負担するか、出来る限り借主に負担を求めてオーナーの支出を抑えるか、この方針にも選択があります。
国土交通省のガイドラインが世に広まりました。
東京では東京ルールが施行されて、退去時の通常損耗や経年変化による修繕費用は「貸主の負担だ」という世論が形成されてきました。
中には、それらを借主に負担させる特約は「法律違反だ」という勘違いも生まれています。
テレビ番組まで、そのような誤った主張をするときがあります。
ご存じの通り、我が国には「契約自由の原則」があるので、貸主と借主が合意すれば、通常損耗や経年変化による修繕費用の一部を、借主に負担してもらうことは可能です。
たとえば、ルームクリーニング費用○○円、エアコンのクリーニング費用○○円、キッチンとトイレの消毒費用○○円を列挙して、「この通常損耗や経年変化の修繕費用は借主の負担とします」と書くことは有効です。
ただし、本来は借主が負担しなくても良い費用なので、それを負担する特約は借主の不利になりますから、契約時に納得してもらうことが必要です。
負担させる金額も一定限度を超えることは認められません。
「通常損耗や経年変化の修繕費用として」という理由と、その目的物と金額を明記する必要があります。
借主に納得させないまま契約して後日トラブルとなったとき、「契約書に書いてあるから」という事業者側の説明は、なかなか認められないのです。
しっかりした契約書類を作り、きっちりと説明をしてもらう必要があります。
これらのことを安心して任せることのできる、仲介・管理会社に依頼しなければなりません。
その他にも、「敷金2ヶ月分のうちの1ヶ月分を償却する」という約束も有効です。
ペット可なら、通常の敷金とは別に「ペット敷金」を預かって、それを償却して返還しない、という特約も有効です。
ただし有効とするには、①借主が自分に不利な条件に納得して、契約条項に確認の署名をしていること、②借主が負担する費用の目的が、通常損耗や経年変化の修繕費用と明示されて、金額が妥当な範囲内であること、が必要なのは、前述の通りです。
原状回復工事を退去のたびに「しっかりと」行うとしたら、その多額の費用負担は賃貸経営を圧迫しますので、このように、一部でも借主に負担してもらう方法があることを、知っておく必要があります。
ただし「知ったうえ」で、原状回復工事の「どこまでを」借主負担とするかは選択の余地があります。
借主の不利な条件で募集することで、部屋が決まらなかったら「元も子も」ありません。
退去時の工事をスムーズに進めて、一日も早くお客様に見ていただきたいのに、もし費用負担で揉めてしまうと工事が遅れて、ズルズルと募集の機会を失ってしまうリスクもあります。
この辺のバランスを考えながら、原状回復工事の「どこまで行うのか」と、「貸主の出費をどう抑えるか」を考えることは、空室対策としてとても重要な選択です。
1番は「どこまで行うのか」です。
空室対策の観点から、原状回復工事の内容を考える必要があります。
2番は「貸主の出費をどう抑えるか」です。
入退去のたびに、高額の原状回復費用を貸主が負担しなければならない、としたら、賃貸経営は成り立つのでしょうか。
この2点に焦点を当ててみます。
原状回復の目的は、「次の入居募集のために商品価値を整える」ことです。
「価値を整える」ところの「価値」とは、貸主さんが求める「家賃」によって異なります。
「家賃を高く貸したい」ときは価値も高める必要がありますので、それなりの、バリューアップを伴った原状回復工事が必要です。
反対に、相場が下がっているし、新築や築浅のライバル物件が多いので、お金をかけるよりは「値下げをして貸す」ときは、気になる箇所だけの原状回復工事で充分です。
仲介・管理会社が「リフォームをしましょう」とか「家賃を下げましょう」と提案するのは、必ずしもオーナーの都合を考えてのこととは限らないので、貸主としては、自身の考え、自身の都合で「どこまで原状回復工事を行うか」を決めるべきです。
ご自身の考えを伝えた上で、仲介・管理会社にアドバイスを求めてください。
原状回復工事を「気になる箇所だけ」で済ませるか、「バリューアップを伴った内容」で勝負に出るかは、物件の築年数によっても選択がかわります
。
築10年を過ぎると、新築・築浅の強みは消えていますし、設備も、修繕か交換の時期を迎えています。
数年後には大規模修繕の時期が迫っていますから、それに合わせて「バリューアップ工事をする」という考えは合理的です。
また築20年を過ぎると、そのときのお客様のニーズに「まったく」合わなくなっています。
設備も交換しなければならない時期です。
木造なら「建替え時期」も意識しながら、2回目の大規模修繕に合わせてリノベーションするか、費用をかけないで取り壊しまで、家賃の値下げ戦略を基本として経営するか、の選択です。
オーナーの賃貸経営に対する、目的と考え方次第で選択肢が違ってきます。
原状回復工事は、その都度、賃貸経営の先行きを考えた上で、適切な投資をしていただきたいと思います。
さて、どちらにしても、退去の度に費用がかかることは避けられません。
この費用の大部分をオーナーが負担するか、出来る限り借主に負担を求めてオーナーの支出を抑えるか、この方針にも選択があります。
国土交通省のガイドラインが世に広まりました。
東京では東京ルールが施行されて、退去時の通常損耗や経年変化による修繕費用は「貸主の負担だ」という世論が形成されてきました。
中には、それらを借主に負担させる特約は「法律違反だ」という勘違いも生まれています。
テレビ番組まで、そのような誤った主張をするときがあります。
ご存じの通り、我が国には「契約自由の原則」があるので、貸主と借主が合意すれば、通常損耗や経年変化による修繕費用の一部を、借主に負担してもらうことは可能です。
たとえば、ルームクリーニング費用○○円、エアコンのクリーニング費用○○円、キッチンとトイレの消毒費用○○円を列挙して、「この通常損耗や経年変化の修繕費用は借主の負担とします」と書くことは有効です。
ただし、本来は借主が負担しなくても良い費用なので、それを負担する特約は借主の不利になりますから、契約時に納得してもらうことが必要です。
負担させる金額も一定限度を超えることは認められません。
「通常損耗や経年変化の修繕費用として」という理由と、その目的物と金額を明記する必要があります。
借主に納得させないまま契約して後日トラブルとなったとき、「契約書に書いてあるから」という事業者側の説明は、なかなか認められないのです。
しっかりした契約書類を作り、きっちりと説明をしてもらう必要があります。
これらのことを安心して任せることのできる、仲介・管理会社に依頼しなければなりません。
その他にも、「敷金2ヶ月分のうちの1ヶ月分を償却する」という約束も有効です。
ペット可なら、通常の敷金とは別に「ペット敷金」を預かって、それを償却して返還しない、という特約も有効です。
ただし有効とするには、①借主が自分に不利な条件に納得して、契約条項に確認の署名をしていること、②借主が負担する費用の目的が、通常損耗や経年変化の修繕費用と明示されて、金額が妥当な範囲内であること、が必要なのは、前述の通りです。
原状回復工事を退去のたびに「しっかりと」行うとしたら、その多額の費用負担は賃貸経営を圧迫しますので、このように、一部でも借主に負担してもらう方法があることを、知っておく必要があります。
ただし「知ったうえ」で、原状回復工事の「どこまでを」借主負担とするかは選択の余地があります。
借主の不利な条件で募集することで、部屋が決まらなかったら「元も子も」ありません。
退去時の工事をスムーズに進めて、一日も早くお客様に見ていただきたいのに、もし費用負担で揉めてしまうと工事が遅れて、ズルズルと募集の機会を失ってしまうリスクもあります。
この辺のバランスを考えながら、原状回復工事の「どこまで行うのか」と、「貸主の出費をどう抑えるか」を考えることは、空室対策としてとても重要な選択です。