不動産のまめ知識

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副題に、「入居率99%、500戸を経営するカリスマオーナー直伝」とあります、この本の著者さんは、裸一貫から賃貸経営を始めて、現在は532戸を個人で所有し、99.6%(空室が2戸)という高い入居率を誇っていると、まえがきに紹介されています。

すごいオーナーさんですね。

まず巻頭に「勝てる賃貸経営の極意10カ条」が紹介されているのですが、そこには、著者が全編にわたって貫いてる主張が凝縮されているようです。

1.建設費用は坪40万以下に

2.RC造で外壁はタイル張り

3.家賃は5%安くする

4.駐車場は戸数の1.5~2倍

5.良いものを安く仕入れる

6.土地300坪なら200万の手取り

7.地元の会社を選ぶ

8.他のアパートに負けない

9.20年で借金を返す

10.不安なら家賃保証を項目ごとに説明がついていますが、その内容は本書をご確認ください。

 

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さて本書の内容は、著者からの提言を読者へのQ&Aという形式で綴られています。

いくつか気になったQ&Aを紹介させていただきます。

『先祖代々の土地の正しい活用方法は、賃貸アパマンと平面駐車場では、どっち?』という質問です。

もちろん「賃貸アパマン」ですね。

相続税や固定資産税を考えると、この答えになるでしょう。

日本では、住宅関連しか税制上の優遇措置はありません。

 

つづいて『アパマン経営のアドバイスをもらうとしたら、税理士や銀行支店長と賃貸経営コンサルタントの、どっち?』という質問。

この答えは面白く「どちらも間違い」です。

アドバイスをもらうなら「アパマン経営の成功者に学べ」と主張しています。

机上の空論より実体験からのアドバイスが勝る、ということです。

つぎは『賃貸建物を建てるとき、オーナーとして知っておくべき大切なことは、建設費用か建物の構造か、どっち?』です。

答えは「どちらも知っておくべき」。

その理由は、賃貸経営にとって建設費用は「仕入」に該当しますので「より安く」が基本。

土地の価格が坪20万円のエリアなら、坪単価40万円以上の建設費はかけないことを目安にする。

建物の構造は、建物の寿命を国が決めていますので、47年と一番長い鉄筋コンクリート造がベスト。

商売の基本は「良いものを安く仕入れる」ですから、長持ちするRC造を中堅ゼネコンに安く建ててもらうことが、他のアパマンとの競争に勝ち残る秘訣、とのことです。

 

つぎの質問は『築10年で空室が発生したら、家賃を下げるか、維持して乗り切るか、どっち?』です。
著者の答えは「家賃を下げる」でした。

築10年を過ぎると、インターネットの検索でヒットしなくなります。

多くのお客様が「築10年以内」にチェックを入れて探すからです。

なので「築10年の相場より5%安い家賃設定」を基本とすることを勧めています。

そのためには、仕入を安くしておく必要があるのです。

 

最後は『築20年以降の賃貸経営で正しい対応策は、家賃をさらに下げる、改装して家賃をあげ下げする、のどっち?』です。

著者の答えは「リノベーションして家賃をあげ下げする」。

まだ建物には20年以上の寿命がありますから、家賃の値下げだけが正しい対応ではありません。

 

このように29の質問を通して、「勝てる不動産経営の極意」を伝授しています。

お勧めの一冊です。
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Q.空室が一日も早く埋まるように募集条件を決めるときの、判断基準がありましたら教えてください。

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A.空室を埋める作業は退去連絡から始まります。

ここから、新しい借主さんが決まって家賃発生するまでを「できるだけ短くする」ということになります。

ここでよくあるのが、できるだけ高く貸したいので「この家賃で様子をみてみよう」と実験的な条件を選んでしまうことです。

それでは、すぐに1~2ヶ月のロスが生まれてしまうリスクがあります。

ですから「2ヶ月以内で決まる募集条件」をしっかりと考えて、採用することをお勧めします。

具体的には、①家賃を下げるか、②住宅設備(エアコンなど)を追加して家賃据え置きにするか、③もっと費用をかけて家賃もアップさせるかです。

何もしないで、家賃も据え置きで「すぐに決まる」ということは、よほど人気のエリアか物件でなければあり得ないと思います。

大家さんの「貸したい気持ち」より、借主さんの「借りたくなる気持ち」を優先して条件を決めることです。

 

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空室を早く決めるには、このスタートが大事になります。

前述の3つの対策のどれを選ぶかですが、「物件の築年数に応じて」という判断基準がありますので紹介します。

あくまでも一般論になりますが参考にしてください。

築年数が5年なら、家賃は据え置きか、下げても小幅で大丈夫でしょう。

まだ築浅の部類ですから、設備の追加も不要のはずです。

築10年を過ぎると人気が急に落ちるので、対策は家賃の値下げが中心になります。

まだ、高額のリフォームの時期でもありません。

築15年を過ぎると、そろそろ設備や間取が、最近のニーズに合わなくなり、また設備が故障し始める時期でもありますので、ある程度のリフォームを検討する時期でしょう。

50万~100万円のリフォームを施しても、家賃は据え置き、というのが妥当ではないでしょうか。

築20年を過ぎた物件は、40年50年を寿命と考えると半分に当たります。

外壁も含めて、間取りも変えるくらいのリノベーションを考えるにはベストタイミングです。

部屋数にもよりますが、総額で1000万円を超えるような工事となる場合もあります。

新たなスタートですから、家賃をアップすることも可能でしょう。

 

このように募集条件は、家賃を下げるとかリフォームをする、という一辺倒な考えではなく、物件の状況や築年数に応じて判断すべきです。

そのためにも、長期的な視野で考えるようにしてください。
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10月から「マイナンバー」の通知が始まります。

賃貸オーナーにとっての影響はどうなのでしょうか。

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マイナンバーというのは、国民一人ひとりが持つ12桁の番号のことです。

この番号は、今年の10月から、住民票を持っている全ての人に、1人1つのマイナンバー(個人番号)が通知されます。

そのときは、番号が書かれた紙製の「通知カード」が簡易書留で送られてくるようです。

この共通番号制度という考えは、1970年の佐藤栄作内閣の頃からあったようですね。

色々と反対もあり実現しなかったようですが、2年前の平成25年5月に法案が成立して、来年の1月からスタートする制度です。

マイナンバー制度が導入される理由として、まず、個人の所得や納税などの情報を国が把握することが挙げられています。

オーナー様の賃貸経営の所得やそれ以外の所得について、国が把握するのに便利になるワケですね。

他の理由としては、「行政コストを削減すること」や「各種行政手続きの手間を減らす」という目的もあるようです。

特に、来年の1月から交付される個人番号カードがあると、本人証明やその他の手続きが便利になると説明されています。

マイナンバーカードは健康保険証と一体化させる予定と言われています。

図書カードや、運転免許証などの役割を果たすようになることも考えられる、と言いますから『ワンカード』として一つにまとめることができると、お財布が軽量化できますね。
銀行口座とマイナンバーが結びつく?

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さて、賃貸オーナー様に関係する点としては、2018年から銀行口座を持つ人に、番号を任意で登録してもらう方針が決まっています。

銀行は、口座を持つオーナー様に対して、マイナンバーを登録するよう要請してきます。

つまり、オーナー様の銀行口座を、同意を得たうえで、マイナンバーと結びつけることが可能になります。

口座の預金状況や金銭の流れを調べられるようにすることで、申告漏れや脱税行為を防ぐのが狙いです。

遠方にある口座も、マイナンバーを利用することで、手間暇かけずに調べることができるようになります。

複数の口座に分散された金銭についても、その所在や預金金額が、当局によってつかめるようになります。

ただし、マイナンバーの登録はあくまでも任意のため、応じなくても罰則はないのですが、義務化についても2021年以降に検討されるようです。

親が子や孫へ、まとまった額の振り込みをしたような場合、これまでは特に問題にならなくても、今後は「贈与にあたる」などの指摘を受ける可能性もあります。

マイナンバー制度によって、国は税金を集めやすくなるのは間違いありません。

もちろん便利な点もあります。

戸籍や旅券、自動車登録などの手続きにもマイナンバーが使えるようですし、番号で本人確認できるので、年金受給や相続の時の必要書類が減り、手続きも簡単になる、と言われています。

旅券の申請も、現在は住民票や戸籍謄本を提出しなくてはなりませんが、番号を使えば書類提出は不要になります。

このような手続きが簡素で便利になる、というケースは、いろいろと出てくるのではないでしょうか。

いずれにしても、正しく申告して納税されていれば、何も心配することはありません。
今年の10月に通知カードが届くはずです。
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Q.火災保険の「見直しが必要かもしれない」と指摘されました。どのような理由でしょう?


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A.おそらく、今年の10月1日に実施される「保険料率改定」のことで、必要なら「見直した方がいい」とアドバイスされたのだと思います。


改定されるポイントは2つあります。

1つは「保険料率が値上げになる」ということ。

2つめは、「保険期間が最長で10年に短縮される」ということです。




Q.保険料の値上がりとは、どれくらい負担が増えるのですか


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A.それは、地域や保険内容や対象となる構造によって大きく異なりますので、一概に「いくら」とは答えられません。


最近では、大雪や洪水などの自然災害による損害が多くなって保険金の支払いが増加しているそうです。

さらに、自然災害の将来予測に「不確実な要素が増している」との研究成果が発表されたことも、値上げの一因になっています。

保険会社各社が保険料率を決めるのに参考にする数字として「参考純率」があるのですが、住宅総合保険の参考純率が平均で3.5%引き上がると発表されました。

これは平均ですので、実際の改定率は、地域や建物の構造によってマチマチです。

特に鉄筋コンクリート造の共同住宅の引き上げ率が高いのが目立ちます。

損害保険料算出機構の資料によると、東京は12%で、最も高い福岡県は24.1%の引き上げになりそうです。

逆に下がる地域や構造もあって、木造住宅が含まれるM構造は、大阪府は-16%、香川県は-20.3%の引き下げになりそうです。

オーナーさんのご所有の建物と地域と保険会社によって違いがありますので、それぞれを確認されるといいと思います。

その引き上げが本年10月1日以降の新規契約から採用されるということです。




Q.では既存の建物については関係はないのですね。


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A.いえ、関係はあります。


たとえば築10年の建物で“期間は5年”という契約の場合、本年10月1日以降に更新されるときは、値上げされた保険料となります。

保険料は長期契約の方が抑えられますので、今年の9月30日までに、たとえば15年の契約に切り替えれば、その分は「値上げ前」の長期契約割で計算された保険料となり抑えることができます。

25年なら更に割安になります。

しかし10月1日以降は10年以上の契約をすることができなくなるのです。

現在契約している保険を切り替えるときは、支払った保険料の未経過部分が払い戻されます。
それで「どのくらい下がるのか」を確認するのは無駄ではないでしょう。




Q.もし切り替えるなら契約期間以外に注意すべき点はありますか?


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A.あえて言うなら“補償内容”でしょうか。


豪雪災害や土砂災害が多い地域なのに、保険金の支払いに「免責」を付けてしまっていたり、逆に、そのような災害の可能性はないのに「免責」による保険料の引き下げをしていなかったりすると勿体ないです。

住宅火災保険の補償対象は、「火災」だけでなく台風や竜巻などの「風災」、大雪や雹(ひょう)などの「雪害」、そして「落雷」による損害もカバーしています。

そのような自然災害が増えているので安心できる要素ではありますが、「20万円以上でないと保険金がでない」などの条件が設定されている場合があるので確認が必要です。

また補償額が「時価」となっていたら、「新価」という再調達価格に変更することを検討していかがでしょう。

古い物件が大きな被害に遭ったとき、建替えや補修するための資金が足らずに困ることになってしまいます。

地震や噴火についても不安な現実が続いていますが、地震を原因とする火災や津波などの損害は「地震保険」でしか補償されません。

火山の噴火による損害を補償するのも地震保険です。

一般的な火災保険では補償されません。

ただし、地震保険は建物5千万円、家財1千万円を限度に、火災保険の30~50%の範囲内までしか補償されないことは覚えておいてください。

今回の保険料率の改定の原因は、最近の予測できない自然災害にあるのですから、オーナーさんの地域においても、そのようなリスクの増大に対する補償が付いているかは、気になるところだと思います。

もし切り替えを検討されるなら、ついでに補償内容についてもチェックされると良いと思います。
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なぜ、多くのオーナーや不動産会社が、外国人に部屋を貸すことを敬遠するのでしょうか?

アンケートによると60%のオーナーが、「生活ルールのトラブル」を挙げています。

しかし、そのトラブルを実際に経験したオーナーは10%程度で、ほとんどは「なんとなく」「報道や近所の噂」によるものだそうです。

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そこでこの本の登場となるのですが、外国人向け賃貸の経験豊富な著者が、外国人に賃貸住宅を貸すときのポイントを解説しています。

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最も起きやすい4つのトラブルとは。

 

①ゴミ出しルール

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原因は、外国人にだらしない人が多いのではなく、彼らが日本のゴミ出しのルールを理解していないことです。

トラブルを防ぐためには、事前の丁寧な説明と、多くの市町村で作成している、外国人向けの生活情報が記された冊子を用意しておきましょう。

部屋に備品としてゴミ箱を2つ用意し、それぞれに「NO.1燃えるゴミ」「NO.2燃えないゴミ」と英語で書いておく方法も紹介されています。

 

②騒音トラブル

外国人入居者に対する騒音クレームで多いのは「夜中の電話」です。

母国に電話するとき、時差と料金の関係で「夜中」になってしまうことがあるのです。

これらを防ぐためには、入居時の丁寧な説明に加え、賃貸借契約書に、騒音につながりそうな行為について、時間制限や禁止事項を設けて明記しておくことです。

 

③家賃の滞納

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不動産会社や保証会社によると、「外国人の方が、日本人より家賃滞納は少ない」という意見も聞かれます。

実際、外国人入居者は「家賃の支払いが遅れたらすぐ部屋を追い出されるから厳守せねば」と思っている人が多いようです。

外国人でもOKの保証会社も多いですから、そちらでリスク回避すれば問題はないでしょう。

 

④“また貸し”や“無断同居”

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これらが起こる背景に、海外には「また貸し」「無断同居」が当たり前に行われている国がいくつもある、ということが挙げられます。

韓国では、契約者以外の人との同居はOKだそうです。

もうひとつの背景として、「外国人は部屋が借りにくい」「日本は入居費用が高い」という事情が関わっています。

だから、来日したばかりの友人を一時的に宿泊させたり、部屋代を安くするために複数人で住んだりするのでしょう。

このような事情を理解した上で、日本での「また貸し・無断同居禁止」の条件を契約書に明記し、丁寧に説明することが大切です。

 

理解しにくい「日本の賃貸ルール」

外国人にとって理解しにくい「日本の賃貸ルール」の代表格が、「礼金」と「更新料」と「原状回復費負担」です。

人気物件なら「礼金」を徴収しますし、地域によって2年ごとに「更新料」がかかりますし、ルームクリーニング等の費用が借主負担という賃貸条件は多いです。

これらの日本独特の賃貸ルールは、理解不足で入居するとトラブルになりますので、しっかり説明して理解してもらうことが大切です。

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詳細は本書を手にとって確認してください。
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今回は、Aさんの「空室対策」を一緒に考えましょう。

 

Aさんの物件は、築20年で10戸の居住用賃貸建物です。

 

家賃は平均6万円で、空室が4部屋もあります。

 

長く空いているのに、現在の管理会社から、何の提案もありません。

 

そこへ管理会社Bの営業担当が訪問してきて、「当社に、募集と管理をお任せください」と提案してきました。

 

Aさんは、B社の話を聞いてみることにしました。

 

 

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Aさんの希望は「このままの条件で決めて欲しい」というものですが、B社の提案は異なりました。

 

まず、現在の状況は、満室なら月額60万円の収入があるはずなのに、6部屋しか埋まっていないので、ロスが24万円も発生しています。

「この6万円の募集家賃は5年前のままで、現在の家賃相場に合わせる必要があります」

「建物・設備が古くなった分だけ、お部屋の価値が下がっていますし、この5年間に供給された新築物件も、募集家賃は抑えられているのです」

と説明しました。

 

Aさんは「4部屋くらい、この家賃で決める人もいるのでは?」と主張しましたが、「決まるかもしれませんが、空室が続くのは機会損失です」とのこと。

 

「家賃を下げるか、部屋の価値を上げるか」を選ぶ必要がある、とのことです。

 

現在の収入状況は、表の通りです。
満室時600,000円
ロス-240,000円
賃料収入360,000円
 
家賃を下げたときの収入は?

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Aさんは、家賃の値下げには乗り気ではありませんが、提案を聞いてみることにしました。

 

家賃を7千円下げて5万3千円にすれば、時間をかけずに決まりそうです。

 

しかし、収入予想を立てるときは、他の入居中の6部屋も、2年の間に5万3千円に近づくと、想定して計算するのだそうです。

 

インターネットで募集しますので、新しい家賃を知った入居者から「値下げの請求」が起こり、拒否しても退去されれば、次の募集は5万3千円になってしまうからです。

 

Aさんの、値下げに対する心配も、そこにありました。

 

値下げ案は、満室時の賃料は53万円になり、値下げ前より7万円も減ってしまいます。

 
満室時530,000円
ロス-53,000円
賃料収入477,000円

 

でも、空室のロスを10%で計算すると、上の表の通り、家賃収入は47万7千円となり、11万7千円も、収入が増える計算になります。

 

「なるほど、家賃を下げても、空室ロスが下がれば、収入はこんなに増えるのか」と、Aさんは思いました。

 

でも、家賃を下げることへの抵抗は消えませんでした。

 

値下げをすると、数年すれば更に下げないと埋まらなくなり、家賃が「下がり続けるのでは?」、という不安が拭えないのです。

 

 

B社からは同時に、「リフォームして価値を上げる」方法も提案されました。

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Aさんの物件は和室と洋間で42㎡の2DKですが、最近では人気がない間取りと言われます。

 

まず、「入居者ターゲットは絞った方がいい」ということで、30台の独身が想定されていました。

 

30台独身の需要は増えているのに、供給が多くはないのだそうです。

 

B社の提案は、和室を洋間に変えて1LDKにし、女性向けと男性向けと、それぞれのお部屋を用意します。

 

女性向けの部屋は、キッチンセットは赤いカッティングシートで化粧して、洗面台とトイレは新しく、ユニットバスは表面塗装でそのまま利用します。

 

洋間の壁紙に女性好みのアクセントクロスを採用して、玄関に「花を飾れる可愛いいスペース」を設けます。

 

男性向けの部屋は、白と黒を基調に同じようにリフォーム案を考えます。

 

費用は一部屋80万円で外壁はそのままです。

 

全部屋をリフォームすると800万円の費用がかかる、との内容です。

 

リフォームしたときの収入は?

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B社の案では、家賃は据え置きで満室時の賃料は60万円のままです。

 

空室ロスを5%で計算すると、月額収入は57万円と大きく増えました。

 

ただし、800万円を借入れたときの返済が、7年返済で毎月10万円となるので、差し引くと47万円になります。
満室時600,000円
ロス-30,000円
賃料収入570,000円
返済額-100,000円
差引き470,000円

 

家賃を下げたときと「ほぼ同じ」です。

 

Aさんは「80万円もかけてリフォームしたのに、家賃を上げられないのか?」と言いましたが、B社の考えは、30台独身が、この地域で払える賃料は6万円が限度、とのことでした。

 

そこで、もうひとつのリフォーム案です。

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入居者の対象をカップルに変えれば「7万から7万5千円くらい出せる」とのことなので、カップル向けのリフォームを考えることにします。

 

外壁を塗り替え、水回りの設備を全て入れ替え、エアコン・ウォシュレット・テレビドアホン・インターネット回線等の設備を付けて、間取も若いカップル向けに変更します。

 

費用は総額で2500万円になりました。

 

「築20年の建物に2500万円も!?」とAさんは驚きましたが、この規模の建物を新築したら9千万円はかかります。

 

「これで15年もたせる作戦です」とB社に説明されました。

 

家賃は7万5千円で満室時の賃料は75万円です。

 

ロスは5%として

 

賃料収入は約71万円になります。

 

借入れ額2500万円を10年返済で計算すると、毎月の返済額が23万円なので、差し引き

 

52万円になりました。
満室時750,000円
ロス-40,000円
賃料収入710,000円
返済額-230,000円
差引き520,000円

 

3つの案の中で一番よい数字です。

 

分かりやすく一覧にしてみました。


(月額)現状のまま家賃を値下げした場合単身者向けの800万円のリフォームカップル向け2500万円のリノベーション
満室時の収入600,000円530,000円600,000円750,000円
空室のロス-240,000円-53,000円-30,000円-40,000円
賃料収入 360,000円477,000円570,000円710,000円
返済額-100,000円-230,000円
差引きの金額360,000円477,000円470,000円520,000円
 

どの案を選ぶべきか?

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Aさんは、B社に任せるか、どの案を選ぶか、これから慎重に検討するようです。

 

でも、何も提案してこない、現在の管理会社と比べて、B社が3つの提案をしてきたことを、Aさんは評価しています。

 

このように、複数の案をシミュレーションしてみると、それぞれの方法による本当の成果が見えてくるので、「分かりやすく判断しやすい」とAさんは思いました。
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Q.隣の入居者がベランダで喫煙するのをやめさせて欲しい、と苦情がありました。

「窓を開けていられないし、洗濯物にも臭いがついて迷惑」とのことで「やめさせないなら家主を損害賠償で訴える」とまで言っています。

これは、当事者同士の問題なのでは?と思うのですが。

 

喫煙所

A.家族に嫌われて、しぶしぶベランダで喫煙する人たちを「ホタル族」と呼んで同情したのは「今は昔」ですね。

「路上喫煙禁止条例」と言って、歩きながらの喫煙を禁止する自治体も増えています。

単なるルールではなく、罰金刑を明記している条例も多いようです。

分譲マンションでも、「ベランダ喫煙」を管理規約で禁止するところが増えています。

愛煙家の方には肩身の狭い世の中になりました。

禁煙

そうは言っても、非喫煙者にとってはタバコの煙は迷惑千万です。

「受動喫煙」とは、非喫煙者が喫煙者のタバコの煙を吸わされることですが、それによる健康被害が広く知られていますから、嫌煙されるのは仕方がありません。

今回の入居者さんは、「洗濯物の臭い」「窓を開けられない」等の苦情を訴えていますが、これが「家族に喘息の子がいる」というような事態だったら、もっと深刻な問題になるところです。

さて、まず確認したいのは、オーナーさんの賃貸物件は「禁煙アパートではない」、ということです。

室内やベランダでの喫煙を「禁止する」というような契約内容ではないと思われます。

となると、ベランダで煙草を吸う行為を咎めることは適当ではありません。

我慢

そこで『受忍限度』という概念が登場します。

『受忍限度』とは、社会一般的に我慢できる限度のことで、相手の行為が我慢の限度を超える場合には、不法行為に該当することとなります。

超えていなければ苦情を訴える側が我慢することになります。

その判断基準は「社会通念上」「一般的に照らして」とありますので、やや曖昧ではあります。

そこで質問ですが、苦情を言われている方がベランダで喫煙される、「時間帯」はいつ頃でしょうか。

一度に何本位をどれくらいかけて吸うのでしょうか。

その頻度はどうでしょうか。

毎日でしょうか、数日に一回でしょうか。

これらの実態を把握する必要があります。

そして、実際に洗濯物に付いた臭いや、窓から室内に入る煙の様子を確認する必要があります(できる限りで結構ですが)。

そうでないと「受忍限度を超えているかどうか」の判断がつきません。

限度を超えていると判断したら、すぐに注意をしてやめてもらうことです。

我慢する範囲と判断されても、「迷惑に感じている人がいる」ことを告げて、気を遣っていただくようにお願いすべきでしょう。

責任はある

オーナーさんは「当事者同士の問題なのでは?」と仰いますが、今回の件では貸主の責任も存在します。

受忍限度を超えた迷惑行為を知っていて「何もしない」のは債務不履行となり、損害賠償の対象になりかねません。

でも、「貸主の義務や責任」よりも、入居者に快適に長く暮らしてもらうために、積極的に解決に努力すべきでしょう。

この問題を放っておくと、入居者のどちらかの退去に繋がってしまう可能性もあります。

円満に解決することが「貸主の利益」になります。

そこでまず、「ベランダ喫煙」に対するオーナーさんの考えを明確にしてはどうでしょうか。

たとえば「今後はベランダでの喫煙を禁止する」として、契約書や入居規約に明記し、そのうえで入居者に宣言する。

以前からの入居者に遵守を義務づけることはできませんが、貸主の意思は伝わりますので、多くの人は遠慮するか気を遣うようになるでしょう。

今後のトラブルを防ぐこともできます。

あるいは、「禁止」までは踏み込まないまでも、「ベランダ喫煙は他人の迷惑につながるので気を遣って下さい」と宣言して、時間帯、喫煙の量、頻度などの制限を具体的に掲げるのです。

明確な規定がないのに、苦情がきてから「注意してください」とお願いするのは、対応が後手に回っている感があると思いますが、いかがでしょうか。

 
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平成3年4月に改正が行われて24年経とうとしている生産緑地法。

あと数年で法的解除となりますが、その後、どう活用していくか悩んでいる農家が多い、という記事がありました。

生産緑地は、農業を継続することを条件に固定資産税や相続税が優遇されますが、指定を受けてから30年間経つと、継続するか宅地に転換するかの選択が待っています。

農地をやめると税制優遇はなくなり、固定資産税は宅地並みになり、それまでに相続が発生していた場合には猶予されていた相続税を支払わなければなりません。

土地を売却して支払うとしても、相続発生時より路線価(相続税評価のベース)が下がっているケースが多いので、払いきれる額ではない場合もあるようです。

自治体に買い取りを申し出るか(財政的に厳しいので期待できない)、特別養護老人ホームの用地として50年の定期借地で社会福祉法人に貸すとか、自分が所有する立地のよくない宅地と交換するなどの方法が紹介されています。

生産緑地を継続したくても農業の後継者いないという問題もあります。何とか上手く活用する方法を見つけなければなりません。
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今回はムック本(雑誌と書籍をあわせた性格を持つ刊行物)の紹介です。

今回は、あらゆる空室対策の考えを「総合的に」まとめた一冊となります。

まさしく「空室対策のバイブル」ですので、お手元においても良いのではないでしょうか。

「市場を知る」こと


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本の中身は大きく4つのカテゴリーに分かれています。まずは「市場を知る」こと。

賃貸経営の環境が、今後はどう変わっていくのかについては、とても興味深いところです。

この中の注目記事は、全国平均で賃貸需要が30%も縮小する厳しい状況のなかで、30代以上の単身世帯を中心にした市場が拡大すると予想している点です。

総務省の国税調査のデータを見ると、単身向け賃貸住宅のターゲットの中心は、学生から社会人へ移行して、さらに年齢層が高くなっていることが分かります。

人口や世帯が減っていく中で、40㎡程度の広さを求める非ファミリー層世帯が増えていくことを、意識しておく必要があります。

もうひとつの拡大するターゲット層は、高齢単身者向けと在留外国人向けの賃貸マーケットです。

高齢者には、病気や事故という不安がありますが、若年層より滞納率は低く、いざというときに相談できる福祉団体との連携があれば、トラブルも少ないといえます。

一方の在留外国人には、家賃滞納や近隣トラブルという不安が付きまといますが、契約時の事前説明を十分にして、外国人に対応した家賃保証システムや定期借家契約を活用するという有効手段を検討してはどうでしょう。

「部屋力アップ」すること


つぎは、ご所有の貸室の競争力を増すための「部屋力アップ」ですが、まずは「ご自分の物件が周辺の賃貸市場の中で、どんなポジションにあるのか」を客観的に掴むことが大切です。

インーネットで、同じ最寄駅、同じくらいの所要時間、広さ、間取りの物件を検索してみましょう。

できれば、実際に近くにある競合物件を見に行ってみましょう。

エントランスのグレード感や共用部分の管理・清掃の状況、建物周辺の環境、駅からの道の様子などをチェックします。

ご自身の物件を客観的に見る目が養われて、改善すべきポイントが見えてくるのではないでしょうか。

「販促力アップ」すること


3番目は、オーナー様の貸室を多くの人に向けてアピールするための「販促力アップ」です。

賃貸物件はインターネットで探すのが「当たり前」となり、特に20代では7割以上がスマートフォンを使って、物件情報にアクセスしています。

さらにお客様は、不動産会社に来店する時点で、内見希望を「3物件」程度に絞り込んでいる、というアンケート結果があります。

つまり、この中に選ばれなければ、室内に足を運んでさえもらえない、という現実があります。

そのために本書でお勧めしているのは、「オーナーが広告をチェックして、募集を依頼してる不動産会社に改善要望をする」という行動です。まずは掲載されている写真をチェックしてください。

アンケートによれば、お部屋探しのお客様が見たい写真のベスト5は、希望が多い順番に、浴室、外観、リビング・居間、キッチン、トイレだそうです。

押入れ・クローゼットも上位にあります。

これらの写真が掲載されていないのは問題外ですし、オーナー様の貸室の魅力を十分に表しているかを客観的に見て、そして合格ラインに届かなければ、改善を要求するのです。

「顧客満足アップ」すること


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最後は、入居中の借主の退去を防ぐための「顧客満足アップ」です。

これを実践したオーナーが、口を揃えて「やってみてよかった」という方法があります。

それは、自らの貸室に「試(ため)し住み」をするのです。

お部屋に布団などを持ち込んで一泊、できれば平日・休日と何泊かしてみるのです。

設備の調子や建物内の騒音、暑さ・寒さ、部屋の使い勝手、ほかの部屋の入居者の生活の様子など、いろいろなことが分かり、様々な改善すべき点を発見できそうです。

以上のように「市場を知る」「部屋力アップ」「販促力アップ」「顧客満足アップ」の4つのカテゴリーで、あらゆる空室対策の考えを「総合的に」まとめた一冊となっています。

その中のほんの一部を紹介しました。
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空室対策は10年20年で考える


賃貸経営は、短期的でなく長期的な視野が必要なのは言うまでもありません。

しかし現実は、目の前のことだけに注力してしまい勝ちです。

「いまが満室ならいい」「いまの空室が埋まればいい」「いまのトラブルが片付けばい

い」という考えに、どうしても支配されてしまいます。

もちろん、目の前の緊急事態には最優先で対処しなければなりませんが、

同時に、長期的な視野で眺める習慣を持たないと、安定した賃貸経営は望めないでしょう。

新築であっても10年後は


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もし、ご所有の賃貸物件が新築や築浅なら、きっと満室かそれに近い状況でしょう。

でも10年後は、「何の手も打たないで」満室を維持するのは難しくなっていることが予想されます。

さらに20年後では、空室に悩み、想定以上の修繕費がかかることに、驚いたり悩んでいることでしょう。

新築で満室のいま、その時のために、何かを決めて行動する必要があるのではないでしょうか。

もしご所有の賃貸物件が築10年なら、そろそろ、退去後の部屋が「なかなか決まらなくなってきた」という時期に差し掛かっているでしょう。

広告料とか、フリーレントとか、家賃の値下げとか、募集を依頼している不動産会社から、色々な提案があるのではないでしょうか。

このときの決断が、「とりあえず部屋が埋まればいい」という短期的なものか、「10年後を見据えた」長期的なものか、その選択によって結果が大きく

変わることになります。

もうひとつ、築10年といえば、外壁の塗り替えや、エアコン等の設備の交換といったメンテナンスが必要になり始める時期です。

しっかりと大規模修繕の予定が組まれていれば、「やるかやらないか」の決断が容易ですし、そのための資金も用意できているはずなので何の問題もありません。

もし予定を組まずに築10年を迎えたとしたら、今からでも遅くありませんので、さらに10年後のために、準備を始めるべきです。

築20年でも20年後を考える


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もし、ご所有の賃貸物件が築20年なら、老朽化物件の坂を転がり始める直前にあるか、あるいは、高い稼働率を維持しているか、そのどちらかではな

いでしょうか。

困ったことに、建物設備のメンテナンス費用は、築20年以降から本格的にかかってきます。

家賃収入は減っていくのに、修繕費用の出費は増えるという事態が始まります。

それでも、ローンの支払利息分や減価償却という経費が少なくなるので、「利益が出て税金は課税される」という厳しい時期です。

でも、たとえ老朽化物件への坂にあったとしても、これからの10年20年を見通して決断をすれば展開が変わってきます。

たとえば、最低限の費用だけをかけて、低額家賃の入居者層をターゲットとして、必要な収益とキャッシュフローを得ることは可能です。

あるいは、築20年を賃貸経営40年の「折り返し点」と捉えれば、大規模なリノベーション工事で積極的に攻めるという選択もあります。

新たなローンを抱えても、必要な収益とキャッシュフローが得られるような計画も可能でしょう。

もちろん、これらの中間をいくような選択肢がいくつもあるはずですが、重要なのは「入居者ターゲット」をできるだけ明確にして、必要最低限の支出を真剣に検討して、そして決めて実践する、という長期的視野です。

現在の賃貸物件が「築何年」でも、「空室でも満室」でも、「トラブルを抱えている最中」であっても、そのときの決断の中に、「10年後20年後を見通してみる」という考えを加えることが、とても重要で意味があることで

す。
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